(リチャード=ラグラヴェネーズ:監督・2007年・アメリカ)
すばらしくて、みおわったあと、しばらくうごけない。
主演は『ミリオンダラー・ベイビー』のヒラリー=スワンク。
ダメなやつら、ときめつけられたクラスを、
ひとりの熱心な先生が中心となって、
たてなおしていく作品はいくつもあるけど、
『フリーダム・ライターズ』は圧倒的なリアリティーが胸をうつ。
ロサンゼルス郊外にある公立高校で、
新人教師のエレンが203教室をうけもつことになる。
当時のロサンゼルスは、人種差別による暴動が日常的におこり、
人種ごとの対立が高校にまでもちこまれ、クラスはあれはてていた。
生徒たちは、それぞれがすさまじい環境のもとで生きている。
ともだちや家族がころされた体験を、ほとんどの生徒がもっており、
だれも高校での教育なんかに期待してない。
クラスは人種ごとにグループがはっきりわかれ、
おたがいがにくしみあっており、
おだやかに授業ができる状況ではない。
エレンはそんな彼らの体験をしると、
国語の授業だけではどうにもならないとかんがえる。
日記をかくよう提案したり、社会見学にでかけたり、
生徒たちが自分の身のまわりだけでなく、
ひろく社会でおきていることに関心をもつようみちびいてゆく。
はじめ生徒たちは、白人であるエレンへにたいし、
不信感にみちており、なにも期待していない。
エレンの誠実さが、すこしずつ生徒たちのかたいこころをひらき、
やがてクラスを家族とまで生徒たちがいうようになる。
それまで自分を尊重されたことのなかった生徒たちが、
しだいにおたがいをうけいれていく変化が圧巻だ。
自分でかんがえるちからを生徒たちはつちかい、
エレンはすこしずつ彼らから信頼をよせられるようになる。
生徒たちがかいた日記は、まとめられて一冊の本になり、
おおくの203教室をうみだすように、
「フリーダム・ライターズ基金」が設立されたという。
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