まえは別ずりだったけど、いまは記事の一部となっている。
今回の特集は「耕さない農業」について。
アメリカのノースダコタ州の農場で、
ブラウンさんがおこなっている農法が紹介されている。
トラクターで土をたがやさなければ、
ふかふかの土ができてくるという。
ブラウンさんは、たがやさないばかりでなく、
農薬も化学肥料もつかわない。
たがやさない農業といえば、福岡正信さんの自然農法が有名だ。
福岡さんは、自然にしたがえばすべてがうまくいく、と、
たがやさず、草をぬかず、肥料もつかわない。
田うえもしない。土団子に稲の種をまぜてまく、
という直播なので、田うえの手間もかからない。
農法というよりも、ひとはなにもしなくてもいい、
ただ自然にまかせる、という哲学であり、
わたしもわかいころつよくひかれたことがある。
直播での米づくりもためしてみたけど、
うまくいかなくて、5年であきらめてしまった。
「GLOBE」では、ブラウンさんの農場だけでなく、
カンボジアでのとりくみも紹介してある。
雨があまりふらないアメリカでは、
草をとらなくても大丈夫かもしれないけど、
雨がおおいモンスーン気候のカンボジアでも、
やり方によっては草をおさえられるそうだ。
ブラウンさんによる「土の健康5原則」は
・土をかき乱さない
・土を覆う(被覆作物を植える)
・多様性を高める(数十種の野菜や穀物、花を一緒に育てる)
・土のなかに「生きた根」を維
・動物(家畜)を組み込む
農業というと、とくに日本では、汗みずたらしてはたらく勤勉さや、
骨身をおしまない道徳的な価値観とセットになっている。
土をたがやすにしても、ふかく、こまかくクワや機械をいれ、
どれだけ労力をかけたかが大切にされる。
土なんかたがやさなくてもいい、なんていうと、
なまけものによる異端な農業とみられがちだ。
『サピエンス全史』(ユヴァル=ハラリ)をよんだとき、
農業は穀物の奴隷、というとらえ方に衝撃をうけた。
農業によって文明がさかえた、ということになっているけど、
農業にたずさわるひとは、はたしてしあわせになっただろうか。
土をたがやし、草とりや水やりで、やすむ間もなくはたらきづめだ。
からだをこわしてまで作物への奉仕がもとめられる。
穀物への献身を美徳ととらえる価値観にしあわせはなく、
農業への関心が、いっきにさめたものだ。
土をたがやさない農業が、あたりまえになればいいのに。
肥料や農薬をあまりつかわずにすみ、
石油をつかってトラクターをうごかさなくてもいいし、
かわれている動物も、ひろびろとした土地ですごせる。
いいことばかりにおもえるけど、
日本人にとっての農業は、勤勉さがだいじなので、
世界でいちばんうけいれられない国なのかもしれない。
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