なんだかドイツ戦での劇的勝利がチャラになった気までした。
でも、コスタリカはけして弱小国ではない。
ドイツにかったからといって、かんたんにかてる相手ではないのに、
そうおもいこむ気のゆるみが、日本全体、そしてわたしにもあった。
コスタリカとの敗戦を、ひとりがってにがっかりするなんて、
ファンとしてなさけなかったと気もちをきりかえる。
もうスペインにかつしかない。そんな状況におかれた日本を、
シニカルな傍観者ではなく、ひとりのサッカーファンとして、
こころをこめて応援しようとわたしはおもった。
朝3時半におきて4時からの試合開始をまつ。
前半12分にスペインがクロスをヘディングであわせ、
かんたんに先取点をあげる。
日本はときどきチャンスをつくるものの、
スペインはきれいにパスをつなぎ、日本はボールをもてない。
あんなにパスをまわされる試合は はじめてみた。
日本がときどきボールをうばっても、
すぐにまたスペインがボールをからめとる。
それでもなんとか1点だけにおさえて前半をおえる。
後半そうそうの逆転シーンは、おおくの方がなんどもみたことだろう。
日本はチーム全体でプレスをかけ、相手のパスコースを限定する。
堂安の同点ゴールはすばらしかったけど、
それをうんだのは三苫のプレスだったし、
スペインがだしたくるしまぎれのパスに、
とおくから全力でかけつけた伊東のよせが、
堂安へのアシストとなった。
2点目の田中のゴールも、おぜんだてしたのは
ありえないような三苫のはしりこみだった。
逆転してからの40分は、とにかくたえる時間帯がつづく。
森保監督が、鎌田にかえて富安をいれたのが、
まるで高段者の将棋をみているようでかっこよかった。
富安はそれまで伊東がいた右のサイドバックにはいり、
伊東が一列まえにあがって左のサイドハーフへうつる。
まもりとせめの両方をケアした選手交代がきいていた。
つづいて遠藤を投入し、さらにまもりをかためる。
うつべき手を、あらかじめ想定していた選手起用であり、
日本のおもわくどおりに時計がすすんでゆく。
7分のアディショナルタイムもふくめ、
試合終了まで日本はなんとかしのぎきる。
ドイツ、そしてスペインをやぶっての、
グループリーグ首位通過がきまった。
グループリーグの初戦、ドイツ戦のときは、
たしかにかちたかったけど、ひきわけでもよかったし、
まけたとしても、つぎの試合でがんばればよかった。
しかし、このスペイン戦はちがった。
日本はあとがなく、もうかつしかなかった。
ひきわけでは、ドイツがグループ2位になってしまう。
そんなくるしい状況だったのに、気もちをきりかえて
日本の成長をしめすまたとない機会としてとらえ、
みごとにスペインをやぶった選手たちがほこらしかった。
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