(宮島未奈・新潮社)
成瀬という少女の魅力を、本の帯がよくつたえている。
「島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」
中2の夏休み、幼なじみの成瀬がまた変なことを言い出した。
この本は成瀬あかりをめぐる6本の連作短編で、
よむうちに、わたしは成瀬がだいすきになった。
こころをわしづかみとは、成瀬とのであいをいうのだろう。
成瀬は、まるで戦国時代の武将みたいな、
かたいはなしかたをする。
そして、夏を西武にささげようとしたり、
漫才で頂点をきわめようとしたりと、
おもいついたことをつぎつぎと実行にうつす。
なにごとにもどうじず、緊張もしない。
クラスでういていても気にせず、
ごく自然とやりたいことにまっすぐとりくむ。
かといって、あいてをおもいやれないわけではなく、
彼女なりの論理でひとの気もちを推察する。
現代において、成瀬はありえないほどいいやつなのだ。
帯には「かってなく 最高の主人公、現る!」とある。
ほんとうだ。よみおえたいま、また成瀬にあいたい。
200歳までの成瀬あかり史をぜんぶよみたい。
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