すばらしい作品で、ミステリーの魅力をじゅうぶん堪能できた。
おなじ作者の本をよみたくなったので、
4作品からなるシェトランド四重奏(創元推理文庫)へすすむ。
四重奏シリーズのあと、さらに4作品がかかれている(新四重奏)。
すっかりはまってしまい、これまでに8冊のうち7冊よんだ。
ここまでくると、ぜひシェトランド諸島へいきたくなってくる。
シェトランド諸島はイギリス北部のスコットランドにぞくし、
オークニー諸島からさらに東北へ180キロはなれている。
うつくしい景観からなる自然環境にめぐまれ、観光地でもある。
人口は2万3000と、とざされたコミュニティであり、
シェトランドでは、だれもがしりあい、
という特殊な状況が舞台設定としてうまくいかされている。
うつくしい自然にひかれ、本土から移住してくるひともおおいそうだ。
どの作品も、シェトランドの自然がもうひとつのテーマでもある。
突然わきでてくる霧・緯度のたかさ
(ノルウェーのオスロとほぼおなじ)からくる白夜
・きゅうにかわる天気。
シリーズの主人公はジミー=ペレス警部で、
彼の忍耐づよく、こまやかな観察力が
本シリーズのおおきな魅力となっている。
ペレスは、あいてのことばえらび・アクセント・声の強弱などなどから
心理状況をよみとりおおくの情報をえる。
シェトランドシリーズは、どれも480ページ前後あり、
こみいったプロットがはりめぐらされ、すこしずつ謎をおいつめる。
ところが、さいごの50ページで、バタバタっと謎があかされる。
けっこう無理やりで、ほんとかなー、とあんがいわらえる。
島根にも、約180の島と4つの有人島からなる隠岐諸島がある。
本土から60キロはなれ、人口は1万9000。
日本版シェトランド諸島といえなくもない。
シェトランド諸島はさすがにとおいので、
てっとりばやく島旅をたのみむには隠岐諸島がおすすめだ。
もっとシェトランドシリーズのつづきをよみたくなるけど、
あるインタビューでクリーヴスは、シリーズを終わらせる理由として、「二万三千人しか住んでいないシェトランドで、かなり大勢の人を殺してしまったんです」と笑いながらジョークを述べていた。このまま書きつづけると、「そして誰もいなくなった」島になりかねないのだと。(7作目『地の告発』のあとがきより。)
たしかに。
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