2017年05月23日

『本の雑誌 6月号』での「山の本ベスト30」

『本の雑誌 6月号』は山の本を特集しており、
「山の本ベスト30」がえらばれている。
3人による座談会で、それぞれが5冊ずつ推薦するほかに、
3人が合意する15冊をはなしあう。それで合計30冊。
ひろく・ふかく目をくばられるので、
ベスト30をえらぶのに いいやり方だ。
山についての本にくわしくないわたしには
おすすめ本として ありがたいリストになっている。
この30作をおさえれば、日本と世界における、
それぞれの「山」がつかめるのではないか。

わたしとしては、本多勝一さんの『山を考える』をいれてほしかった。
この本におさめられている「パイオニア=ワークとはなにか」は、
なぜ山をのぼるかについて、ひとつのこたえとなっている。
山であれば なんでもいいわけではなく、
世界でいちばんたかく、だれものぼってないからこそ とうとい。
ヘリコプターをつかってでも山頂をめざせ。
酸素ボンベだろうがなんだろうが、
役にたつならなんでもつかえ、に
わかいころのわたしはしびれた。
「パイオニア=ワークとはなにか」が議論された1955年当時、
世界最高峰のチョモランマは
すでにイギリス隊によってのぼられていた。
そんな状況だからこそ「パイオニア=ワークとはなにか」を
論理的におさえる必要があった。
最高の目標が制覇されたあとで、登山家たちは
いったいなにをめざせばいいのか。

「山の本ベスト30」には、
純粋な登山をあつかった小説だけではなく、
旅行記や探検記もランクインしているので、
冒険論である『山を考える』がはいってもおかしくない。
おかしくはないけど、探検や冒険のベスト30は、
別の企画としてとりくんだほうが
それぞれがめざす目標を、よりはっきりさせられる。
「山の本ベスト30」に『山を考える』が顔をださなかったことで、
探検や冒険のベスト30企画が必要におもえてきた。

探検・冒険、それに旅行は、
どれもがおおきなかたまりを形づくっている。
そのなかでさらに海もの・山もの・空ものと
いくつかのジャンルにわかれているので、
全体をとらえるのはかなりむつかしそうだ。
ベスト30などのこころみは、ひとつのあそびとはいえ、
やるからには全力をかたむけて状況を整理してほしい。
冒険と探検を対象にした それぞれのベスト30を たのしみにしている。

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2017年05月20日

北上次郎さんの海外ミステリー書評集がとどく

先日のブログにもかいたように、
http://parupisupipi.seesaa.net/article/449916738.html
北上次郎さんの3部作を注文し、
きょうそれがそろった。
ミステリー三部作.jpg
『冒険小説の時代』
『ベストミステリー10年』
『極私的ミステリー年代記』(上下巻)

「小説推理」に連載されているミステリーの書評をまとめたもので、
3部作で35年間がカバーされている。

北上次郎さんの『勝手に!文庫解説』をよんだら、
そこに紹介されている海外ミステリーが
どれもすごくおもしろそうだった。
ちかい将来ぜんぶ目をとおそうときめる。
北上次郎さんの書評は、これまで対談形式のものをよんでおり、
1冊の本については それほどふれられていない。
『勝手に!文庫解説』のように、じっくりとかたった書評を
もっとよみたくなった。

この本でとりあげられている16冊と、
その作家がかいたほかの作品もあわせると、
数十冊のおもしろ本を確保できた。
『勝手に!文庫解説』だけでこんなぐあいなのだから、
ほかの書評集も参考にすれば、
そうとうな数の必読ミステリーをリストアップできる。
それはすなわち わたしの老後をかがやかせてくれる
宝箱とのであいにひとしい。
きょうそろった三部作は、わたしの老後の質をきめかねない
あるいは終活をおおきく左右する、たいせつなガイドブックだ。

4冊とも中古品を注文したので、クロネコヤマトの方を
なんどもわずらわせてしまった。
配達だけでなく、集配所もふくめると、
どれだけたくさんの方にお世話になったことか。
宅配便にあまえすぎてきた反省をしていたのに、
ダメおしのように、4ども配達してもらい、
ありがたいけど もうしわけなかった。
人生のおわりをかがやかせるためだからと、
自分でいいわけをする。

1978〜1983年の作品をとりあげている『冒険小説の時代』は、
さすがにずいぶんとふるめかしい。
二段組で、ちいさな文字がぎっしりうまっている。
ふだんつかっているのより、もっとこまかい文字用の
リーディンググラスでなければ わたしにはよめない。
三部作は、うしろのほうに、著者名の索引と、
作品名の索引がのっているけれど
(『極私的ミステリー年代記』は著者名索引だけ)、
著者と作品をあわせた索引はないので、
データーベースをととのえようとはりきっている。
三段階評価もつけて、のこりの時間を計算しつつ
おもしろ本の森にふみこみたい。
海外ミステリーだけにかぎっても、
じゅうぶんわたしの人生はみたされそうだけど、
おもしろさが保障された日本の小説が、さらに山のようにある。
映画だって まだみてない名作・話題作がべつの山脈をつくっている。
ながいきしたくなってきた。

posted by カルピス at 20:57 | Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月15日

北上次郎さんのミステリー時評3部作を注文する

「本の雑誌」に「図書カード3万円使い放題!」という企画がある。
作家を本屋さんにつれていって 3万円分の図書カードをわたし、
ほしい本をかってもらう。
かいものにあたり、どんな方針で本屋さんにたち、
なぜその本をえらんだのかを かいてもらう企画だ。
うれてる作家でも、3万円の図書カードはうれしそうで、
たいていのひとが この企画をもってこられると
冷静さをわすれ まいあがった姿をみせる。

わたしに3万円分の図書カードをくれるひとはいないけれど、
自分でかってに3万円分のかいものはできる。
そうおもいつつ、なかなか実行できないからこそ、
この企画がよろこばれるのだろう。
プレゼントされた図書カードは、
本ずきにとって 格別なよろこびとなる。

デイリーポータルZにも「勝手に食べ放題」という企画があった。
お店が企画するたべ放題でなくても、
おなかいっぱいになるまで「勝手に」注文すればいいのだから、
ほんのすこし日常から足をふみだすだけで
わりとかんたんに実行できる。
ただ、そうやって「食べ放題」しても、
おなかがいっぱいにはなるものの、精神的な充実感はとぼしいようで、
おなじ「勝手に」やるのなら、
わたしも「図書カード3万円」のほうをえらびたい。

北上次郎さんの著書に『勝手に!文庫解説』がある。
文字どおり、依頼されてもいない原稿を
自分から勝手にかいた解説をあつめた本だ。
たのまれもしないのに解説をかきたくなるくらい、
その本について ひとこといいたいわけで、
どの解説もすごくおもしろい。
この本のなかで、北上さんは
ご自分でかかれた書評集についてふれている。
「小説推理」にかいているミステリー時評をまとめたもので、

『冒険小説の時代』(1978年〜1983年)
『ベストミステリー10年』(1984年〜1993年)
『極私的ミステリー年代記』(上下巻)(1993年〜2012年)

の3冊にわかれている。
この3冊をよめば、
「35年間の翻訳ミステリーの状況が、一応わかる仕組みになっている」
というからすごい。

翻訳ミステリー16冊にふれた『勝手に!文庫解説』だけでも
よみたい本がゾロゾロでてきたし、
その作家がかいたほかの作品もおさえようとすると、
16冊がさらに芋づる式でふえていく。
そのうえに、ミステリー時評3部作をくわえると、
わたしのしらないおもしろ本が、
いったい何冊になるのか見当もつかない。
わたしは、財宝のつまった宝箱にであったのかもしれない。

ブログだってほんとうは「勝手に」かいているわけで、
わたしもよんだ本をよくとりあげるけど、
ささやかな「感想」であり、「解説」とはまったくべつものだ。
北上次郎さんの『勝手に!文庫解説』は
正確な知識と ほうふな読書経験があって はじめてかけるもので、
その本がなぜおもしろいのかを
ご自分のこのみをからめて ふかくほりさげていく。
わたしは、こんな書評集がよみたかったのだ。
じゅうじつした老後の生活にむけ、
さっそくアマゾンで 3部作を注文した。

posted by カルピス at 22:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月14日

タイトル『勝手にふるえてろ』がうまい

ネットの記事や本のタイトルは、
目にしたひとが できるだけじっさいによんでくれるように、
気をひくタイトルがつけらえている。
さいきんだされた本のタイトルでは、
『君の膵臓をたべたい』(住野よる)が気になる。
でも、気になりながら、
よんでみようとまではおもわないのだから、
本のタイトルはむつかしい。
しらない作家の本は、よほど自分の関心と
かさなるタイトルでなければ
レジまでもっていく気にならない。
タイトルより、口こみをふくめた評判のほうが 背中をおしてくれる。
すこしまえの本では、綿矢りさ さんの
『勝手にふるえてろ』がすばらしい。
綿矢さんは、『蹴りたい背中』もいいタイトルで、
「ん?、なんだ なんだ?」とおもわせる。
どちらも、タイトルだけでなく、ないようもよかった。

「日本タイトルだけ大賞」というのがあるそうで、
『人間にとってスカイとは何か』が受賞したと、
なんねんかまえの新聞にのっていた。
こんなタイトルをつけられたら、
すぐにでも手にとりたくなる・・・
かというと あんがいそうでもなく、
わたしはまだよんでない。
いいタイトルをつけても うれゆきまで保障されるわけではない。
「タイトルだけ大賞」とは、うまい名前をつけたものだ。

もっとも、本は 小説かノンフェクションかで
タイトルのつけかたはかわってくる。
小説の場合、なんとなく気になる、
というところでとめておかないと、
タイトルでなかみまでほのめかすのは無理だ。
よんでほしいからと、あんまりちからがはいりすぎると
なんのことだかわけがわからないタイトルになってしまう。

ブログでは、記事の内容をあからさまにするタイトルがおおい。
わたしがすきな「デイリーポータルZ」でいうと、
・「ビールを見ないで注ぐとかっこいい」は本当か
・コーラが一番吹き出す都道府県調べ
・隠し味をばれるまで入れる
など、タイトルで だいたいなかみも予想できる。
できるけど、ぜひよんでみたくなるタイトルだ。
もっとも、「コーラが一番吹き出す都道府県調べ」が、
まさかほんとうにタイトルどおり
コーラをふきださせる実験とはおもわないだろう。
現実が想像をこえるのだから、
まさしくデイリーポータルZらしい記事だ。

本やブログががんばっているのに、
映画のタイトルはあんがいそっけない。
きいただけでは なんのヒントにもならないタイトルがおおい。
映画製作には、ものすごくお金がかかるだろうに、
なぜタイトルは あまり気をくばられないのか 不思議だ。

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2017年05月09日

村田沙耶香さん おすすめの背平泳ぎ

けさの朝日新聞にのっていた
村田沙耶香さんの「新しい泳ぎ方?」がおもしろかった。
村田さんは、あおむけにういた姿勢での平およぎがすきで、
海をみるとついこの「背平泳ぎ」のことを
かんがえるのだそうだ。
自分の新発明かとおもっていたのに、
「エレメンタリーバックストローク」という
名前までついているとしり、がっかりしたという。
記事をよんでも、いまひとつ
どんなフォームなのかが想像できない。
足が平およぎの形なのはわかる。
でも、手はどうやってうごかすのか。
頭のうえまで手をのばしたとして、
そのあとどうやってもとの場所にもどすのだろう。
わたしは水泳部そだちで、
なおかつ平およぎを専門にしていたので、
ここはながさずにしっかりおさえておきたい。

ユーチューブでみると、
手は肩のよこでチョコチョコうごかせばいいみたいだ。
これならわたしがいつも水泳の練習のあと、
クールダウンとしてやっているおよぎといっしょだ。
たしかに いちばん楽な泳法かもしれない。
村田さんは、このおよぎをしりあいにすすめるけど、
だれもとりあってくれないのだそうだ。
シンガポールへの旅行で 背平泳ぎが いよいよデビューとなる。
友人とシンガポールへ行ったとき、プールでここぞとばかりに「背平泳ぎ」を皆に勧めた。皆、笑いながらやってみてくれて、しかも私よりも上手だった。

がおかしい。
「発見者」よりも まわりのほうがうまくこなすのは
ちょっとくやしいけど、よくあることだ。

海で あおむけにうかぶといえば『異邦人』をおもいだす。
ムルソーは海水浴場にでかけ、
マリイと水のなかでふざけあう。
泳ぎながら、波の頂上で水を含み、口に水泡(あぶく)をいっぱにためこんでおいては、今度は、あおむけになって、その水を空へ向けて噴き上げるのだ。すると、泡のレースみたいに空中に消えて行ったり、生あたたかい滴になって、私の顔の上に降って来たりした。

そのあとマリイがムルソーのところにおいつき、
いいことをたくさんしてくれる。
『異邦人』をよむときに、いつもうかんでくるのがシャワー問題だ。
ムルソーたちは、海水浴のあと、シャワーをあびなくて平気なのか。
プールそだちのわたしは、海水のべたつきがきらいで、
およぐたびにシャワーをあびないと 不快でしかたない。
でも、マリイみたいな女性がとなりにいたら、
シャワーなんてどうでもよくなるかもしれない。

プールでは、およぐより たのしみはないけど、
海にいけば シュノーケルなどで
水のなかのようすをみるのもたのしいし、
あおむけに、ただういているだけでも気もちいい。
ただ、背平泳ぎを ほんとうにたのしもうとおもえば、
『異邦人』にでてくる強烈な太陽がかかせない。
つよいひざしに、ぬるいぐらい海水があたためられ、
太陽にじりじりやかれながらあおむけにうかぶ。
となりにマリイがいたら、背平泳ぎがもうしぶんなく完成する。

posted by カルピス at 21:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする