2021年08月06日

サッカー男子U-24、3位決定戦 日本対メキシコ 1−3でメキシコ

すこしまえの朝日新聞に、星野智幸さんの
「五輪が盗むスポーツ」がのった。
女子サッカーの岩渕真奈選手のカナダ戦やチリ戦でのプレーは、これまでとは別次元でチームのために無私となっていて、私はとても胸をうたれた。でもその姿は、強権的独裁的に五輪を開催してよかったのだという正当化に利用されてしまうのだ。そして、観客やファンと選手が分断される。

「正当化に利用されてしまう」が問題の本質だ。
選手に五輪の運営批判は期待できない。
選手たちは、自分の競技でがんばるしかなく、
がんばればがんばるだけ、その気もちを利用されてしまう。

きょうはサッカー男子U-24、日本対メキシコによる
3位決定戦がおこなわれた。
どちらのチームにとっても、中2日の6連戦。
選手たちはさすがにつかれており、
日本は前半そうそうにPKを献上し、その後も
前半22分にフリーキックをきめられる。
連戦のつかれにより、集中がきれてしまったのではないか。
後半13分には、コーナーキックから3点目をきめられている。
いずれもフリーキックによる失点で、
三苫が1点をかえしたものの、1−3の結果におわり、
銅メダルにはいたらなかった。

日本は、メキシコの倍以上のシュート(22本)をはなちながらも、
決定機にきめきれなかった。
試合後に久保が号泣したのは、決勝トーナメントにはいってから、
1点もとれなかった ふがいなさがあるようにおもう。
おしいチャンスはいくつもあった。
3点をリードされ、せめるしかない日本は、
リスクをかくごのうえで まえがかりになってゴールをねらう。
しかし、試合終了間際にいくつも決定機をつくりながらも、
得点は三苫の1ゴールだけにおわる。
あのシュートがきまっていたら、と、
何本ものタラレバシュートがもしきまっていたら・・・。
この試合でも、審判の笛はメキシコ有利にふかれ、
とくにPKをあたえた場面では、
VARのチェックさえおこなわれなかった。

日本選手たちのプレーは、みるもののこころにせまった。
ただ、だからといって、新型コロナウイルスがひろがるなか、
オリンピックをひらいた 関係機関のあやまりが きえるわけではない。
さいごにもういちど星野智幸さんの記事から引用する。
 あくまでも競技の中で意思表示するしかない選手たちに、五輪という舞台作りを根本から批判することは難しいだろう。結局は排除されるだけだから。
 でも、私が願うのは、現役中に難しいのであれば、せめて引退してから、スポーツファンにこんな苦しい思いをさせる五輪のあり方を変えるよう、努めてほしいということ。多大な犠牲と不公正の上で成り立っている五輪に参加した選手たちには、それを変える責任があると思う。

posted by カルピス at 21:25 | Comment(0) | サッカー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年07月29日

サッカー男子、U-24日本対フランス 4−0で日本

サッカー男子、U-24日本対フランス
4−0で日本

1週間まえ、まだ開会式がはじまるまえの7月22日。
おなじグループAにぞくするフランスとメキシコの試合をみて、
そのうまさとはげしさに、このさき日本がむかえる
グループリーグのむつかしさをかんじたものだ。
こんなにつよいチームとおなじグループにはいりながら、
日本は金メダルをめざすというけど、本気なのか。
その日本が、メキシコを2−1でやぶり、そして
フランスをも4−0でしりぞけた。
フランスというと、前回のロシアW杯の優勝国でもあり、
チームがうまくまとまったときのつよさはおりがみつきだ。
ただ、この大会では、メキシコに1−4でやぶれ、
南アフリカには 4−3と、逆転でなんとかここまできた。
日本戦に、2点以上の点差でかたなければ
グループリーグをかちのこれない きびしい状況だ。

前半の20分までは、さすがにフランス、というかんじで、
うまくボールをまわし、日本に攻撃をさせない。
得点がほしいのだから、フランスはせめるしかない。
日本も、ただひいてまもるのではなく、
ポゼッションをたかめ、相手陣内での時間をつくりはじめる。

前半の27分に久保、44分に酒井と、
相手ゴールキーパーがはじいたところに、
ぬけめなく つめていた2人がきめている。
いずれも上田のシュートが起点となった。
3試合目ではじめて先発した上田が 攻撃のリズムをうみだしている。
前半のうちに2点を先取し、日本はいきおいがでてきた。
相手とのちから関係がみえてきて、自信をもってプレーしはじめる。
後半にはいると、フランスはますますせめざるをえない。
しかし、オーバーエイジ枠のジニャックのがんばりが目につくだけで、
ゴールまえにあつくせまるプレーがみられない。
そのうちに、三好が3点目をあげ、フランスはこころがおれたようだ。
コロムアニが三好のひざしたをふみつけ、
レッドカードにより退場となっている。
試合開始から、フランスはエラーをアピールすることばかりに熱心で、
日本選手のなにげないプレーに、おおげさな反応でたおれこむ。
そのくせ自分たちは、あいての足をふみつけることに余念がなく、
強豪国としての尊厳が みじんもかんじられない
2流のチームになりさがっていた。

それにしても、たとえU-24とはいえ、フランスをあいてに
4−0で日本がかてるようになったとは、感慨ぶかい。
トルシエ監督の時代にフランス代表と練習試合をしたとき、
どろだらけのあれたピッチコンディションということもわざわいし、
日本は0−5の完敗にくっした。
まともにはしり、ボールをあつかえたのは、
中田英寿だけ、というなさけない試合だった。
まさに、おとなとこどもの差が 両国にはあった。
あれから幾星霜。
こんかいの試合では、フランスにまったくいい場面をつくらせず、
完璧にふうじこんだ。4−0という結果と、その内容も、
日本にとって最高の試合だったといえる。

こんかいのフランスチームは、クラブが選手をだしたがらず、
おもうような選手構成ができなかったときく。
日本にもおなじ問題があるとはいえ、国内チームにかぎれば、
オリンピックがすきな日本は、まだ選手の選出に理解がある。
いったい、オリンピックにおける男子サッカーとはなにかと、
根源的な疑問をいだかざるをえない。
ユーロや南米選手権がおわったばかりで、
やれやれと気もちがきれている各国代表の選手たち。
7月の大会という あつさのなかで、中2日という過酷なスケジュール。
おまけに新型コロナウイルスの感染拡大で、
選手と関係者全員が、試合に集中できる環境にない。
おおくの選手にとって、まるでバツゲームみたいな大会が
オリンピックの男子サッカーなのでは。

それにしても、よわいときのフランスは、
いつもこんなかんじでグループリーグをかちあがれない。
W杯南アフリカ大会では、選手と監督との対立など、
チームがバラバラになり、とても試合にのぞめる状況ではなかった。
こんかいもまた、フランスは、フランスらしくやぶれたともいえる。

posted by カルピス at 22:18 | Comment(0) | サッカー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年07月23日

東京オリンピックはスルーだけど、サッカーだけはみてしまう

きょうは東京オリンピックの開会式がおこなわれるらしい。
サッカーなど、いくつかの種目は、開会式にさきだち、
すでに試合がおこなわれているけど、
これは、オリンピックではいつもながらのスケジュールだ。
わたしは新型コロナウイルスがひろがるなか、
なにがなんでもオリンピックをひらこうとする
政府や東京都、そしてIOCに反対の立場をとっている。
オリンピック・パラリンピックとも、
競技をないものとしてやりすごしたいけど、
なさけないことに、サッカーだけは例外あつかいで、
男女の試合とも ちゃっかりみてしまいそうだ。

きのうは、男子のU-24日本対南アフリカの試合がおこなわれた。
南アフリカは、感染者や濃厚接触者がでて、
試合ができるかどうかあやぶまれていた。
試合開始6時間まえのPCR検査により、
なんとか出場する選手の数がそろうことになった。
それにしても、日本のあつさにからだをならしたり、
感染を心配しながら 試合にでる選手のやりくりをするなど、
チームのコンディションをととのえるのは たいへんだっただろう。
試合がおこなわれた夜8時でも、東京スタジアムの気温は31℃あり、
そんななか、90分(とアディショナルタイム)を
はしりまわる選手たちはたいへんだ。
南アフリカは、ひいてまもる戦術をとりながらも、
カウンターをしかけるときには人数をかけ、
日本はなんどもあぶない場面をむかえている。
レフェリーの笛も、日本代表にはストレスだった。
W杯のアジア予選をおもわせるレベルのレフェリーで、
ありえないファールやイエローカードがしめされた。

梅雨があけてからの日本列島は、本格的なあつさとなった。
天気予報は、命をまもるため、外にでないで、
できるだけ家のなかですごすよう くりかえし警告している。
そんなあつさのなか、サッカーは中2日で試合がつづくのだから、
選手たちにも、関係者にも、狂気の沙汰といえるスケジュールだ。
東京オリンピックでかちのこるには、
なによりもあつさ対策が焦点となるのではないか。
90分をはしれる選手をどうそろえ、そのためにはどんな戦術が有効か。
あらかじめわかっていた日程とはいえ、こうしてみると
オリンピックって、コロナがなくても 問題だらけのイベントだ。

男子のU-24日本代表は、金メダルを目標にかかげている。
選手がそろわず、ひいてまもる南アフリカに
あれだけ手をやくのだから、グループリーグをかちあがるのも、
そのさきのトーナメントでいきのこるのも、かんたんではない。
女子代表も、メダルがなんとかというはなしがでている。
せんじつおこなわれたカナダ戦では、さいごまでよくはしったものの、
ようやく1-1でひきわけており、こちらもあまり楽観できない状況だ。

posted by カルピス at 17:36 | Comment(0) | サッカー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月27日

J1リーグ第20節、浦和対福岡 解説にJリーグ審判統括の扇谷さん

J1リーグ第20節、浦和対福岡 2−0で浦和

きょうの解説は、播戸竜二さんと、Jリーグ審判統括の扇谷さん。
審判の組織にいるひとが、解説をつとめるのはめずらしい。
せっかく実況にまねいても、なかなか本音をききだせないのでは、
とあまり期待していなかったけど、
扇谷さんはわかりやすく、そしてたくさんはなしてくれた。
もうひとりの解説者、播戸さんの存在もよかった。
あかるく、ハキハキと、ポジティブな発言が、
試合をおもしろくしてくれる。
実況のアナウンサーも、扇谷さんが審判側のひとだからと、
遠慮することなく、
「これまでにすごいとおもった選手は?」
なんて ストレートに たずねていた。
そんなこときいても、まともにこたえてくれるわけない、
とおもっていたら、あんのじょう、「どの選手もそれぞれ・・・」
と、あたりさわりのないこたえがかえってきた。
でも、そのあと「柿谷選手のシュートがすごかった」と
具体的な選手名をあげてはなすところが扇谷さんのいいところだ。
播戸さんもそのシュートみていたようで、
あのチョンチョンチョンときめたやつですか、
とすぐにくいつく。チョンチョンと、ボールをあやつり、
さいごはヒールできめたのだそうだ。
扇谷さんは、「あのシュートをまぢかにみられてよかった」と
ほんとうに感心したようにはなす。

第4の審判の役割とか、審判たちが水をとるときや、
試合の後半がはじまるときに、
審判たちがあつまってグータッチをするところなど、
きょうは審判のうごきに話題があつまる。
ひとつのチームとして機能しなければ、
スムーズな試合進行がのぞめない。
審判側の解説者という、めずらしい人選がうまくあたり、
試合をいつもとはちがう角度からたのしめた。

きょうの試合の主審は荒木さんがつとめていた。
扇谷さんは荒木主審の判断について、
どこがどういいのかを具体的にはなされる。
表情がゆたかで、笑顔もまじえ、でもきびしい判定もくだす。
たしかに、選手と笑顔ではなしていたし、
イエローカードはためらいなく毅然とした態度でしめす。
浦和のユンカー選手がドリブルでカウンターにもちこんだとき、
ほかのひとはシュートの結果を気にしていたけど、
扇谷さんは、荒木主審がちゃんとボールについてはしり、
いいポジションでプレーをみていたことを評価していた。

試合がおわり、2−0でまけた福岡の長谷部監督が、
扇谷さんになにやら苦言をていしている。
内容はわからないけど、そういう批判もあえてうけ、
それでもさんごはグータッチでおわったのを、
播戸さん・扇谷さんとも、いい場面だったとはなされる。

ほかにもVARのしくみが話題となった。
今シーズンからJリーグでとりいれられたVARが、
いまのところうまく運営されており、
ストレスをかんじることなく試合をたのしめている。
そのために、審判たちとVARのスタッフが
どんな役割分担で仕事をすすめているかを扇谷さんが説明される。
VARはごねたものがち、みたいなところがあり、
わたしはないほうがいいとおもっているけど、
審判団とVARスタッフの連携がうまくとれていると、
試合のながれがさまたげられることなく ただしい判定をみちびく。
きょうの試合でもVARの場面があったけど、
VARにたよりすぎず、適正な判断がとられていた。

きょうの試合でひかったのは、浦和の小泉選手で、
先制点をあげたほかにも、なんどもチャンスメイクしていた。
あのゴールが、J1リーグであげたはじめての得点だったという。
福岡はこれで3連敗。浦和は2連勝だ。
まけたとはいえ、福岡は浦和と互角にわたりあっていた。
6位という福岡の成績が、けしてまぐれではないことをあらわしている。
ただ、波状攻撃をみせるものの、さいごのことろで精度をかき、
得点のにおいはあまりしなかった。
ジョン=マリ選手にボールをあつめようとしても、
なかなかいい体勢でシュートまでもちこめない。
福岡は、ここがふんばりどころだろう。

posted by カルピス at 22:20 | Comment(0) | サッカー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月19日

「ノーサイン野球」をわたしもみたい

5月下旬から6月にかけて、
サッカーのU-24と、A代表の試合が9試合おこなわれた。
新型コロナウイルス対策として、無観客試合だったため、
コーチングスタッフの声がよくきこえる。
まるで子どもの試合に大人がアドバイスをしてるみたいで、
じつにこまかく指示をあたえている。
選手同士が声をかけているのがきこえないくらいだ。
「そうそう」「サイドがあいてる」「それでよし」
子どもの試合でも、このごろは
大人が口だしをしない、というながれができつつあるのに、
プロの試合でもこれかー、というかんじだ。

きょうの朝日新聞に、安藤嘉浩氏による
「ノーサイン野球の本質」という記事がのった。
 1年生部員が送りバントをファウルして、「しまった」という顔をすることがある。「うちはノーサイン野球やで。自分で決めてバントをしたんだから、言い訳みたいな表情をつくらなくていいよ」と大原監督は諭すという。むしろ次の一手を考えよう。またバントしてもいいし、打って出てもいい。結果的に粘って四球を選べば、送りバントよりもいい結果じゃないか。
 「それがノーサイン野球の本質です。小学生が理解して実践するには、時間と指導者の我慢が必要になる。だけど長い目で見たら、子どもにとってプラスになるはずです」

監督の顔色をうかがってのプレーより、
自分でかんがえる野球をわたしもみたい。

すこしまえには、サンフレッチェ広島の城福監督が、
なぜ飲水タイムをとらないかについて、
朝日新聞のコラムがとりあげていた
(「飲水タイム」広島が取らぬ理由・吉田純哉)。
飲水タイムとは、コロナ禍での特別ルールで、
選手たちがペットボトルを共有せず水をのめるよう、
前半と後半に1回ずつもうけられている。
今季からは両チームが合意すれば、
飲水タイムをとりいれなくてもよくなった。
飲水タイムは、監督が指示をあたえる時間にもなりがちで、
ハーフタイムみたいに、飲水タイムのまえとあとでは、
チームのいきおいがかわる試合がみられた。
城福監督は「連続したサッカーの場面を見せていく志を持っている」と語る。清水のロティーナ監督も「飲水はサッカーの魅力を損なう」と同意する。
 「飲水」による1分近い中断は、試合の流れを止めてしまう。作戦タイムとして重要視するクラブもあるなかで、城福監督は試合の中身を濃くして、観戦する側の喜びを大事にする。

城福監督の志に拍手をおくりたい。

posted by カルピス at 17:24 | Comment(0) | サッカー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする