2020年12月07日

相手への対応はベンチの仕事、という西部さん流のとらえ方

サッカージャーナリストの西部謙司さんは、
先日のメキシコ戦のように、相手が変化したとき、
日本代表は対応できない、と指摘している。
さいきんはじまったことではなく、
W杯でまけた試合のおおくが、相手の変化で
ひっくりかえされたものだという。
 森保一監督もそれを承知しているようで、就任以来「対応力」と言い続けているが、2019年アジアカップ決勝ではカタールの変則ビルドアップに戸惑い、前半に2失点して流れを持っていかれている。そしてメキシコ戦でも、変化に対応できず敗れたわけだ。
 森保監督はどうやら、「対応力」は選手が身に着けるものだと考えているようだ。(中略)
決められた任務を遂行するのは得意だけれども、それで物事が上手くいかない時に変更ができない。おそらく根本的には、サッカーでは解決できない気もする。(中略)
 社会環境の違いがメンタルの違いに結びついていると仮定すると、これはもうサッカーの手には負えないと思う。選手に「対応力」を期待するのは無理筋ではないかと。
 だとすれば、「対応力」を発揮すべきなのは監督やスタッフのはずである。
 想定外を減らすべく、あらかじめ「引き出し」を用意すること。それでも想定外が出たら、選手に任せずベンチが対策を指示すること。正解かどうか分からなくても、それを決めなくてはいけないのは、むしろベンチだ。選手が解決してくれてもいいが、日本代表の場合、あまりそれは期待しないほうがいい。

「社会環境の違いがメンタルの違いに結びついていると仮定すると、
 これはもうサッカーの手には負えない」
ピッチにたつ選手たちに、変化への対応は期待できないとあきらめ、
それをやるのはベンチの仕事、といってしまうのだからかなり過激だ。
西部さん流の、わりきったかんがえ方がわたしはすきだけど、
高校生レベルではなく、日本代表でさえそうだというのは、
残念なはなしでもある。

ふつうだと、選手が自分たちで対応するには、
どんなとりくみが必要か、という問題意識にたち、
そのためのトレーニングを工夫しようとする。
自己主張しない日本人の特性を改善しようと、
選手たちがかんがえるサッカーにとりくんでいるのが
元日本代表監督の岡田さんで、
ひとつのトレーニング体系として「岡田メソッド」をまとめ、
FC今治での指導にいかしている。
オシムさんだって、選手たちがかんがえてプレーできるよう、
いろいろとトレーニングを工夫していたわけで、
それをはなからあきらめ、ベンチに対応をもとめるのだから
身もフタもないところが西部さんらしい。

もっとも、西部さんにしても、
すべてがベンチの仕事、といっているわけではなく、
あらかじめ「引き出し」を用意したうえで、
それでも想定外となったときの対応をベンチがするべき、
というかんがえ方だ。
でも、ほんとうに日本人には無理なのだろうか。
すぐれた指導者たちによる、
自分たちで相手の変化に対応するための
さまざまなこころみに期待したい。
主体的におこなわれなければ、サッカーといいたくないから。

posted by カルピス at 22:33 | Comment(0) | サッカー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月26日

川崎フロンターレが日本のサッカーをひっぱっていく

きのうにつづき、川崎フロンターレについて。
優勝をきめた試合後のJリーグタイムで、
フロンターレがほかのチームとは別格の存在になってきた、と
解説の宮川ミシェルさんがいうと、
中村憲剛選手は、鬼木監督と自分たちは
それをめざしてこれまでやってきた、とこたえた。
日本のサッカーを、フロンターレがひっぱるつもりなのだ。
そのためにはタイトルをとりつづけなければならず、
タイトルが日常になれば、選手たちの意識もかわってくる。
今シーズンのフロンターレは、到達点ではなく、スタートなのだろう。
日本におけるバルセロナとなるかもしれない。
圧倒的につよかったフロンターレのつよさを
どこかの番組が特集し、記録にのこしてくれないか。

フロンターレというとパスをまわしながら
相手守備陣のスキをつく、というイメージがある。
そのパスまわしは、よくみてみると、
ワンタッチでのパスだけではなく、
2タッチしてのパスもあんがいおおいのに気づく。
ひとはあまりうごきまわらずに、
ボールをうごかすのがフロンターレの特徴といわれており、
いったんとめてからけるので、正確に味方へパスできる。
だれもがたかい技術をもつので、密集したエリアに
苦もなくはいりこみ、わずかなすき間にボールをとおす。

きのうのガンバとの試合は、5-0という点差そのままに、
フロンターレのつよさばかりが目だった。
リーグで2位につけているチームをあいてに、
格のちがいをみせつけての完勝。
フロンターレは、ボールをうしなったら、
すぐに複数の選手でプレッシャーをかけ、ボールをとりかえす。
選手の数がおおいのではないかとおもうくらい、
ボールのまわりでめだつのは青色のユニフォームだ。

今シーズンうりだした三苫のドリブルも魅力的だった。
スピードだけでなくテクニックがあるので
ボールをいったんもつとうばわれない。
サイドラインぎりぎりでボールをうばい、
股ぬきで相手選手をかわすと、ななめにドリブルできめこんで、
クロスやシュートにもっていく。
アシストだけでなく、自分でゴールにせまり、
そのままきめきるちからがある。
はじめのころは、いきおいでやってる新人なのかとおもってたけど、
シーズンをとおして活躍をつづけ、これまでに12得点もあげている。
今シーズン、もっとも印象にのこる選手として、
おおくのサポーターが三苫の名前をあげていた。
みていてたのしいフロンターレのサッカーを象徴するのが三苫選手だ。

posted by カルピス at 22:08 | Comment(0) | サッカー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月25日

祝 川崎フロンターレ、3どめのJ1リーグ優勝

かつか、ひきわけでも優勝のフロンターレが、
ガンバ大阪をホームにむかえての第29節。
フロンターレが5-0でガンバをやぶり、
4節をのこしての最速優勝をきめた。
序盤からフロンターレがおしまくり、
登里がピンポイントであげたクロスを
レアンドロ=ダミアンがきれいにあわせる。
そのあともフロンターレが追加点をかさね、
家長のハットトリックもうまれた。
ガンバはほとんどいいところがなく、
フロンターレがひさびさに自分たちのスタイルをとりもどし、
完勝といっていい勝利にむすびつけた。

後半41分には、3人目の選手交代として
中村憲剛もピッチにはいってきた。
5点目を齋藤学がきめ、そのまま試合終了となる。
フロンターレのいいところばかりがでた試合だった。
試合後のインタビューでは、鬼木監督にマイクがむけられる。
どんな試合でもきびしい表情をくずさない鬼木監督が、
このときは、まるで別人のようなさわやかな笑顔をみせる。
3人めにインタビューをうけたのは中村憲剛だ。
憲剛も笑顔をみせていたけど、交代でピッチにはいり、
大島からキャプテンマークをたくされたときは
いい演出をしてくれて、となきそうになったそうだ。
2017年に、フロンターレが初優勝をしたときのことをおもいだす。
他会場の結果により、2位だったフロンターレが
鹿島アントラーズを逆転しての優勝だった。
鹿島が磐田との試合をスコアレスドローでおえ、
その結果をしった瞬間、憲剛はピッチに顔をうずめてなきくずれた。
それまでなんどもいいところまでいきながら
優勝だけは縁どおかった川崎が、
やっと優勝にたどりついたよろこびに 等々力競技場がつつまれる。
中村憲剛は今シーズンをさいごに引退すると発表している。
もう憲剛をピッチのうえでみられなくなるのか。

今シーズンは開幕節こそおこなわれたものの、
新型コロナウイルスの影響で、その後4ヶ月の中断期間にはいる。
ようやく7月に再開されてからも、はじめは無観客試合だったし、
関係者がウイルスに感染し、試合ができないチームもいくつかでた。
そんななかでフロンターレは、リーグ新記録となる10連勝、
そのあと1敗1分をはさんで、さらに12連勝をあげ、
1シーズンに新記録を2つという 圧倒的なつよさをみせつける。
今シーズンは、これまでにまけたのはわずかに3試合で、
くるしい日程をあつい選手層でアドバンテージにかえ、
どの選手がでてもフロンターレらしいサッカーをみせてくれた。
これだけのチームをつくりあげた鬼木監督をはじめ選手たち、
関係者・サポーターの方々に、こころからのおいわいをおくりたい。

posted by カルピス at 21:21 | Comment(0) | サッカー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月16日

サッカー国際親善試合 日本対パナマ 遠藤の活躍に気づかなかい サッカー音痴のわたし

サッカー国際親善試合
日本対パナマ 1-0で日本

この試合でひかったのは、なんといっても遠藤だ、
とかきたいところだけど、
わたしには遠藤のよさがそれほどみえなかった。
後半から遠藤がはいると、実況のアナウンサーと、
解説の風間さんは、ずっと遠藤の名前ばかりあげていた。
みるひとがみれば、遠藤のうごきは、
それだけとびぬけていたのだろう。
たしかに遠藤はよみが正確で、
味方からのボールをひきだしてはまえにおくっていた。
ただ、遠藤が絶妙な場所に顔をだしていることなど、
とてもわたしには気づかないうごきで、
もういちど試合をみなおしても、感想はかわらなかった。
わたしはサッカーずきのサッカー音痴ということが
残念ながらよくわかる試合だった。

遠藤選手は、ブンデスリーガでデュアルが一番と、
実況アナウンサーが紹介していた。
ひとにつよく、ボールをうばわれない。
あとだしジャンケンみたいでかっこわるいけど、
ごついからだつきは、たしかに目をみはるものがある。

この試合にあつまったのは、先月とおなじように、
すべてヨーロッパのチームに所属する選手だ。
わたしがよくしらない選手もいて、
とおくからの映像では、どの選手なのかわからない。
遠藤選手の活躍に気づかなかったように、
いったいだれがなにをしているのかさっぱりになる。
ひとむかしまえの日本代表なら、
とおくからみても、だれなのかだいたいわかったのに、
顔ぶれがかわると とたんについていけなくなった。
けっきょく、サッカーがわかってないただのおやじだ。
遠藤といえばむかしはヤットさんだったと、
ふるいファンはぶつぶついいわけする。

パナマはおしいシーンをなんどもつくっていた。
ゴールまえにせまり、日本はギリギリのシュートブロックで
なんどふせいでいたことか。
日本の攻撃も、さいごのところできめきれず、
けっきょくはPKでえた1点にとどまっている。
パナマにもうすこし決定力があれば、
1-3でまけていても不思議ではない試合だ。
日本は終盤にはいった浅野と鎌田が、
たてつづけにゴールまでせまったのに、
キーパーと1対1になるとあわててしまい、きめきれない。
1-0でかったものの、もっと得点がほしかった試合だ。

posted by カルピス at 22:07 | Comment(0) | サッカー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月29日

がんばってチームに貢献した結果、チームに居場所がなくなる チームスポーツの不思議

J1最多出場記録を更新中(現在641試合に出場)の遠藤保仁選手が、
出場機会をもとめて ガンバ大阪から
J2のジュビロ磐田へ 期限つきで移籍した。
最多出場記録にこだわり、ガンバのベンチをあたためるよりも、
スタメンで試合にでつづける環境をえらんでのことだ。

サッカーにかぎらず、おおくのチームスポーツは、
試合のあとのインタビューをきいていると、
ゴールやホームランなど 個人の活躍よりも、
チームがかったことがうれしい、みたいな発言をする選手がおおい。
日本人だけでなく、外国人選手でも
おなじように「チームのため」を第一にかんがえているようだ。

チームのために、一生懸命がんばってはたらき、
その結果として チームがいい成績をおさめると、
チームは上のカテゴリーにあがったり、
優勝したら大型の補強をしてさらにつよくなろうとする。
それでどうなるかというと、選手間での競争がはげしくなり、
チームのためにがんばってきた選手の
出場機会がすくなくなったり、戦力外と判断されたり。
チームに貢献した結果、自分の居場所がなくなるという
残念な事態におちいるのがチームスポーツだ。
チームのためにはたらいた選手が、
貢献した結果として、そのチームにいられなくなる。
自分がつかわれなくなることを承知のうえで、
チームをつよくしたいという、選手の心理が不思議だ。

「ピーターの法則」の、創造的無能をおもいだす。
いまの段階で有能な会社員は、その能力をみとめられ、
ひとつうえのポジションへと昇進させられる。
そこでも有能ならば、さらにうえのポジションへ。
そうするうちに、だれもが どこかで、
力を発揮できず、無能となるポイントにたどりつく。
ひとつまえの段階では有能なのだから、
まわりは昇進させようとするけど、
その結果、組織も個人もふしあわせな状況となる。
そうならないために、創造的に無能を演出せよ、
というのがピーターの法則では提案されている。
わざとときどきミスをすれば、まわりはそのひとを
昇進させようとせず、ぬくぬくと、
有能な段階にとどまることができる。

とはいえ、スポーツでは、自分のチームがかたないように、
わざと手をぬくわけにはいかない。
八百長になるから、という理由ではなく、
そんなことをしたら、その競技の魅力をたのしめないからだ。
選手たちは、自分の能力を最大限にいかせる環境をもとめている。
手をぬいてまでチームにのこるのでは、
その競技の魅力をぞんぶんにたのしめない。
サッカーのように、ひろく世界中が市場となっていたら、
J1がだめならJ2、さらにしたのカテゴリーもある。
つよいチームをもとめるのならヨーロッパへ、
日本よりよわいリーグならアジアの国々に
たくさんのサッカークラブからえらぶ、あるいはえらばれる。
自分の能力におうじ、どこかのチームと おりあいをつける。
ちからをぬくのではなく、全力をふるえる環境をもとめるのだから、
サッカー選手は現実主義者であるとともに、
ロマンチストがおおいのではないか。

posted by カルピス at 21:54 | Comment(0) | サッカー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする