2012年11月04日

11月からでも「足りなさの中で成果を残す」というかんがえ方

11月にはいり、今年もあと2ヶ月をのこすだけとなった。
毎年この時期になると、日常のあいさつや、ラジオ番組のマクラで
ときのうつりかわりのはやさにおどろくことばをよく耳にする。
気分はもう「今年もほとんどおわったな」であり、
「来年こそは◯◯をしよう」とはやくも次の年におもいをはせる。
あいさつとしてはいいとしても、
このままおなじことをつづけていていいのだろうか。

シゴタノ!では「スピードハック総決算2012前編」を11月11日にひらくという。
「足りない中で確実に成果を残していく方法を2ヶ月で実践する」
というもので、
基本的なかんがえ方は以下のとおりだ。
11月と12月のたった2ヶ月では何もできない。だから来年に期待しよう。多くの人はそう考えがちです。しかしいつでも時間は不足しているのです。ですからむしろ、その足りなさの中で成果を残すべきです。そうすることができるようになって初めて「来年1年」で大きな仕事を成し遂げることができるのです。

なるほどな、とおもう。
いつだって、なにもかも不足しているのだ。
やりたいことはたくさんあって、
それをする時間や気力という条件がととのわない。
それは、いまにはじまったことではなく、
これまでも、そしてこれからもかわらないとおもったほうがいい。
1年は1ヶ月のつみかさねであり、
1ヶ月は1日のつみかさんでしかない。
一日いちにちを、ていねいに生きていくしかないのだ。

わたしはもともと「今年の目標」をたてていない。
「今年」というくくり方はせずに、
そのときどきにやらなければならないことをこなしているだけだ。
目標をたてながらうまくいかない、というなやみではなく、
もともとの目標がないのだからおはなしにならない。
ふりかえることはできても、それはなりゆきでしかないので、
つぎの計画への参考につながらない。

目標をたてて、それにしばられることをさけてきたわけだ。
でもまあ、自分のやりたいことのために、
無理のない目標をもつことは
のこり時間がかぎられてきたわたしにとって
有益なかんがえ方だろう。
いまわたしが目ざしている生活は、

・老後のとりくみとしてコメ・野菜づくりがしたい
・いちねんに1回はマラソン大会にでたい
・すきな本をたくさんよみたい

というものなので、
それにむけた具体的なうごきをかんがえる。
11月と12月にできれば、
そのさきもつづけられるかもしれない。
11月から、というのは
期限がかぎられていて、あんがいいスタートかもしれない。

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2012年10月27日

究極のスピードハックは「5分だけ」

佐々木正悟さんが「シゴタノ!」に
「究極のスピードハック」として
「分けて、何度も同じことを繰り返すことです」とかいている。
経費精算などの「終わりのない作業」ほど「小分けにする」というより「小さいうちに毎日取り組む」べきものです。そしてこれこそ究極のスピードハックなのです。

園芸をするわたしのしりあいが、
確実に草とりをすすめるコツとして、
「毎日5分だけやる」という方法をおしえてくれたことがある。
ある日まとめて盛大な草とりをしようとするから
気づかないうちに草がおいしげり、
「決心」しないと草とりができない状況になる。
いちにち5分を毎日つづけると、
目にみえて草がすくなくなっていくという。
10分とか15分でなく、5分なところがミソで、
これぐらいなら日課として毎日とりくめるし、
そのための決心も必要ない。

佐々木正悟さんがいわれるのは、
まさしくこの草とりのかんがえ方といっしょだ。
そして、「5分だけ」のやり方は、なんにでも応用がきく。
そうじにしてもかたづけにしても、
「5分だけ」とおもうと、からだをうごかしやすい。
たかだか5分なのだし、そしてその効果は絶大だ。
5分という時間の設定は、
ひとのこころのビミョーなところをついているのだろう。

よくカップヌードルは3分だからまてるけど、
もし5分だったらイライラしてだめ、
ということがいわれている。
たしかに、たかが5分でも、まつのはいやだ。
でも、5分することは心理的な負担がない。
いつもはながくかんじる信号まちの数分間に、
よみかけの本をひらくと、アッという間に青信号にかわる。
「まつ」という、うけみの状態がよくないのであって、
すきなことをする時間に位置づけると、
数分間はすぐにきてしまう。

わたしは、もうひとつのかんがえ方として
「チリはいくらつもってもチリ」というのがすきで、
ささいなことをつみあげていくことをこれまでバカにしてきた。
これは今西錦司さんがいわれた言葉で、
こうした天才的な人物のまえでは
コツコツとただくりかえすことがいろあせてみえる。
しかし、才能にめぐまれないわたしのようなタイプには
5分のすきま時間をみつけて
堅実にくりかえすほうが成果を期待できそうだ。
そういえば「5分だけ」英単語なんて本もあったような気がする。
「5分だけ」勉強法で、生まれかわった自分におどろいてみたい。

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2012年09月14日

『Evernoteとアナログノートによるハイブリッド発想術』(倉下忠憲・技術評論社)

『Evernoteとアナログノートによるハイブリッド発想術』
(倉下忠憲・技術評論社)

アイデアづくりについての本で、
この本にかいてあることをじっさいにとりくめば、
だれにでもアイデアをだせるだろう。
大切なのは、やるかやらないかであって、
よみものとしてたのしむだけではアイデアはつくれない。

この本によると、アイデアづくりは才能が左右するのではなく、
手間暇をかければだれにでもできるという。
アイデアづくりのセンスがないとあきらめていたわたしにとって
げんきのでてくる本となった。
ただ、この本の最初の部分の、どうやったらメモをとれるか、とか、
連想を広げるトレーニングとしての一人ブレストなどをよむと、
自分でも簡単にとりくめそうで、ワクワクしてくるのに、
アイデアをまとめたり、アウトプットをみすえた整理、などにはいってくると
なんのことだかわからなくなって、
わたしの意気ごみはきゅうに尻すぼみになる。
仕事術についての本をよむと、だいたいこういうながれをたどり、
じっさいの仕事にいかすことができないのが残念なわたしのパターンだ。

倉下さんは比喩がうまく、
この本では、アイデアづくりを畑にたとえて説明している。

・種をみつけ、それを植える
・種から根と芽が伸びる
・実ができあがり、それを収穫する

アイデアについて、おさえておかなければならないのは
以下の2つだけだ。

1「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」
(ジェームス=W=ヤング)

2「アイデアを生むためには、手間と時間が必要である」

この本で大切なのはこの2点だけで、
あとはどうしたらそれをスムーズにすすめることができるか、
というノウハウにすぎない。
そのためのツールとして、手帳をつかったり、
エバーノートやiPadといったクラウドの技術もいかしている。
しかし、基本となる部分はアナログかデジタルかは関係がない。

1についてもうすこしおぎなうと、
「カードの操作のなかで、いちばん重要なことは、くみかえ操作である。
知識と知識とを、いろいろにくみかえてみる。
あるいはならべかえてみる。
そうするとしばしば、
一見あんの関係もないようにみえるカードとカードとのあいだに、
おもいもかけぬ関連が存在することに気がつくのである」
(梅棹忠夫・『知的生産の技術』)

2 については、
「アイデアを生み出すためには、準備が必要」である、
ともいいかえてある。
なにかアイデアがうかばないかと、ただまっていても
アイデアをえることはない。
アイデアはなにかのひょうしに空からおちてくるものではなく、
「畑に種をまいて、その成長を待つような簡単な行為」というのだから
才能がなくてもお百姓さんのような勤勉さがあれば、
いい収穫をむかえることができそうだ。

エバーノートとiPadの両方をつかっているのに、
わたしがアイデアをためられなかったり、まとめられなかったりするのは、
けっきょくこの2点が不十分なのだろう。
アイデアをいかす対象としての仕事は
いくらでも目のまえにころがっている。
きゅうに大量の収穫をめざすのではなく、
種をみつけ、うえることからはじめよう。

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2012年05月05日

「ほぼ日手帳」をどういかしていくか

『シゴタノ!手帳術』(倉下忠憲・北真也 東洋経済新報社)

ほぼ日手帳を中心に、
クラウドとアナログツールをどういかしていくと、
仕事(そして人生)がたのしくなるかについてかかれている。

「セルフマネジメントの運用フローを構築する」
「5カ年計画リフィルで5年後のロードマップを描く」
「デイリーリフィルで日次計画」

など、もうほんとうにこまかい。
よくこんなに几帳面に予定をたてるものだと感心してしまう。
ありがたいことに、わたしには
それだけ綿密な計画をたてる必要がない(とおもう)。
いろいろなプロジェクトにとりくみ、
不定期な予定がはいり、もっと仕事がいそがしくなれば、
こうやってスケジュールを管理する必要がでてくるのだろう。
「デイリーリフィルで日次計画」をたてなければ、
仕事がすすまずに、自分にも、
まわりにもよくない状況になるかもしれない。
さいわい、いまは「倉下さん、たいへんだなー」と
ひとごとですませられる気ままな身分だ(のはず)。

とはいえ、この手の本をよむのはすきなので、
たいして実行もしないくせに
倉下さんのかかれた本はすべて本棚にならんでいる。
アナログ手帳をつかう本では
『クラウド時代のハイブリッド手帳術』という本もかっていた。
ひっぱりだしてみると、ずいぶんよさそうなことがかいてある。
こっちは「ほぼ日手帳」にそれほど焦点をあてず、
いろいろなタイプのアナログ手帳をどういかすかの本であり、
これはこれですぐれた内容だ
(まえにいちどよんでいることがしんじられない)。

倉下さんの本からかんじるのは、
人間というものの性質、そして自分という人間のことが
よくわかっていることからくるやわらかさだ。
「◯◯でなければならない」、
という硬直したかんがえは倉下さんにない。
そうしたいけどできないのが人間、という発想から
仕事術についてもかんがえておられる。

『シゴタノ!手帳術』では、
「ほぼ日手帳」のいかし方について、
いくつか参考になるつかい方をおしえてもらった。
基本的には自由さが特徴の手帳であり、
すきなようにかきこんで、
自分なりのつかい方をしなければ
この手帳のよさをいかすことができない。
来年もまた「ほぼ日手帳」をつかいたくなれば、
この本をかって正解だったことになる。

posted by カルピス at 22:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | 仕事術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月26日

ホウレンソウよりだいじなこと

ちょっとまえまでは、社会人にとって
「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」が
いかに大切かが強調されていた。

そのホウレンソウが、
このごろはあまり評判がよくないらしい。
ホウレンソウにこだわることで、
かえって会社の風とおしが
わるくなる例をきくようになった。

朝日新聞にのっていた本田直之さんの
「無駄なホウレンソウ追放」という記事では、
メールや口頭でのホウレンソウが
もううまく機能していないことを指摘されている。
なにがなんでもホウレンソウ、ではなく、
「無駄なホウレンソウをさせない仕組み」
が必要だという。

また、「オレは聞いてない」というひとは、
なにをどう改善しても「オレは聞いてない」
といいつづけるタイプのひとであり、
そういうひともふくめて組織はやっていくしかない、
というあきらめの心境がかたられている。
「完璧なメンバーがそろった、
大リーグのヤンキースみたいな組織なんてない(中略)。
その仲で、どうすればチームの力を最大化して、
ベストの結果が出せるかかんがえる。
それがリーダーの役割です」
とあり、記事の後半ではホウレンソウから内容がはなれている。

本田さんの指摘は「無駄なホウレンソウ」を追放する、
というものだけど、
これをもっとすすめて「ホウレンソウを禁止」
という会社があるという。
上司の判断をあおぐのではなく、
自分の責任できめることをもとめたかんがえ方だ。
また、たぶん別の会社だとおもうけど、
本屋さんの棚をみていたら、
「社長がしらないあいだに支社ができていた」
という帯の本がならべられていた。
ここまでホウレンソウを追放できるのは
よほど腹のすわった社長がいる会社なのだろう。

職員からすると、ホウレンソウを実行し、
上司の判断をあおぐほうが楽だともいえる。
ただ、あまりにも些細なことについて
いちいち上司に意見をもとめていると、
いかにも自分の無能をさらけだしている気がしてたのしくない。

職員が自分の判断でどんどん企画をすすめていくには、
それをみとめ、みまもることができる上司の存在が必要だ。
いまの職場についていうと、
仕事をまかせているつもりなのに
主体的にうごいてくれないもどかしさをかんじることがおおい。
ただ、それはこちらのいいぶんであって、
職員たちからしたら、
そだてかたがまずいから
なにをどうすすめたらいいのかわからない、というかもしれない。
そだてられたように職員はそだったのだ。

記事の後半でホウレンソウからはなれた本田さんは、
きっと仕事の本質はそこにないとおもっているのだろう。

「どうすればチームの力を最大化して、
ベストの結果が出せるかかんがえる。
それがリーダーの役割です」

いっけんあたりまえだけど、
どんな組織にとっても含蓄のふかい言葉だ。


posted by カルピス at 23:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | 仕事術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする