2021年04月21日

『ランスマ倶楽部』との決別

タレントの高樹リサさんは、
フルマラソンでの4時間ぎり(サブ4)をめざしており、
『ランスマ倶楽部』(NHK-BS)はこれまでになんども
彼女のトレーニングやレースのようすを放送してきた。
先日は、いよいよサブ4の本番として、記録会がおこなわれた。
新型コロナウイルスのため、レースがのきなみ中止になっており、
記録会というかたちでサブ4をめざす、というのはわかる。
でも、高樹さんのサブ4を実現させるために、
ペースメーカーが約10キロごとにかわり、
そのペースメーカーも、高樹さんのしりあいでかため、
はしっている最中に、アドバイスをしたり、
リラックスするようはなしかけたり。
「きれいだよ!」と声援をおくるひともいた。
いったいこの記録会はなんなのだと、
みているうちにしらけてきた。
番組のメンツにかけて、なにがなんでも高樹さんに
サブ4を実現させようと、ありえないサポートだらけなのだ。

これが、人類はじめてであるサブ4をめざし、
一流のスタッフからなるチームをくんで
偉業を達成しようというのならわかる。
でも、あくまでも高樹さんが個人的にめざしていた
ひとつのくぎりとしてのサブ4にすぎず、
それなのに、よってたかって
夢にむかっての困難な挑戦だとあおりたてる。
女性のナレーターが、いかにくるしいチャレンジかと
おもいいれたっぷりで「ものがたり」にしたてようとする。

これはもう 高樹さん個人の記録というよりも、
番組が総力をあげてとりくんだヤラセといってよい。
たしかに高樹さんは自分ではしったわけだけど、
まわりがよってたかってズルするものだから、
せっかくの記録も「なんだかなー」という気になる。
番組のあまえた体質と、こんな記録会をゆるす
陸上界エリートたちがたらす いたい汁に いやけがさした。
いっけん美談にしたてあげられた このなんちゃって記録会は、
チョモランマにのぼるために、専属のガイドをやとい、
頂上までいたりつくせりのサポートをうけ、
登頂がカジュアルなイベントとなっている登山とおなじだ。
高樹さんが、せっかくがんばったサブ4へのチャレンジが、
番組のいやらしさにけがされて、価値をおとしている。
『ランスマ倶楽部』をみるのは もうやめよう。

posted by カルピス at 20:47 | Comment(0) | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月05日

金メダルをもとめるのは、アスリート魂というよりも、日本の社会環境

クールジャパン(NHK-BS)で
「世界が驚いたアスリート魂スペシャル」として
世界と日本のアスリートのちがいをとりあげていた。
日本でスポーツをしている外国人アスリートが、
日本人アスリートにおどろいたこととして、
金メダル宣言をあげていた。
オリンピックをめざすおおくの日本人選手が、
金メダル獲得を宣言するのは
すごく自信がなければできないことだという。
外国人選手は、ベストをつくす、とか、いい試合をしたい、
とかの表現にとどめ、メダルにはふれないという。
プレッシャーとなり、プレーにわるい影響をあたえそうだから。
日本人は、日常的に 仕事でもプレッシャーにさらされているから、
スポーツでもプレッシャーにつよいのでは、なんて意見もでていた。
ゲストとしてスタジオにきている外国人選手たちは、
だれもがやさしい顔をして、試合にも自信なさげだ。
外国人アスリートは、かつことしか頭にないのかとおもっていたのに、
事実は逆で、日本人のほうが かつこと、
金メダルをとることに ずっとこだわっている。

もっとも、これは日本人アスリートの魂というよりも、
日本の社会環境がつくりあげた状況かもしれない。
試合にむけて選手がコメントすれば、
マスコミはメダルは?とか、メダルの色は?ときいてくる。
入賞の可能性がある選手にたいして、
まわりは露骨にメダルをもとめるし、
メダルがとれなければなんのためのオリンピックか、
みたいな空気がある。
オリンピックがはじまれば、国別のメダル獲得数が一覧表となり、
どこの国がいちばんおおいかに関心があつまる。
日本人は、オリンピックだいすき、メダルだいすきな国民だ。

番組の話題は、練習のあと選手がそうじをするかや、
日本製の道具がいかにたかい品質か、へながれ、
タイトルにある「アスリート魂スペシャル」には
ほとんどかすらない内容となる。
なんでわざわざこの時期に
オリンピックをよいしょするような番組を放送するのか、
さすがにNHKだ、と感心する。

先日おこなわれたサッカーのW杯アジア予選や、
U-24の試合をみてみると、日本で国際試合をおこない、
既成事実をつみあげよとしているようにみえた。
日曜日には、競泳のオリンピック選考会がひらかれ、
なしくずし的に、オリンピックがおこなわれる方向へ
もっていこうとするうごきをかんじた。
冷静に世界の状況や、身のまわりをみわたせば、
オリンピックどころではないのはあきらかなのに。

posted by カルピス at 21:09 | Comment(0) | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月02日

「チャリダー」ママチャリで入団試験をうける戸丸さんがすばらしい

「チャリダー」(NHK-BS)で、
坂バカ俳優の猪野さんが、プロのロードレースチーム
「宇都宮プリッツェン」の入団試験をうけていた。
・平坦なコース3キロ
・激坂1キロ
・面接
という試験内容で、基準となるタイムもしめされている。
このテストに、戸丸さんというかたが ママチャリで参加されていた。
これまでも、どんなレースにもママチャリで参加されており、
まえの番組でとりあげたレースでは、猪野さんよりはやかった。
面接で、なぜ入団を希望するかたずねられると、
ロードレーサーをかえないひとでも、
ママチャリなら手にいれやすいので、
自転車の魅力をママチャリでつたえたいという。
ほかのひとたちは、もちろんロードレーサーにのっており、
あきらかにはじめからハンディを背おっても、
戸丸さんは ママチャリにのることをだいじにしている。
戸丸さんのママチャリは21キロもあり、
猪野さんのバイクより3倍もおもいのに、
笑顔でトライしつづける姿につよくひかれた。
猪野さんの提案で、ためしに戸丸さんが
ロードレーサーをかりて のってみると、
タイムはママチャリのときより20秒もはやくなる。
もし戸丸さんが、本気でロードレーサーにのれば、
それなりのタイムをだせるだろうに、
「彼女」とよぶママチャリをかえようとはしない。
戸丸さんは、家から宇都宮までの80キロを、
そのママチャリにのってきたそうで、
前のカゴには寝袋がつっこんであった。
入団試験のあとも、またママチャリをこいで家にかえる。
残念ながら、チームの方向性と、戸丸さんの希望とがあわないので、
試験には合格しなかったけど、あくまでもママチャリにこだわり、
笑顔でトライしつづける姿が印象的だった。
プロのチームには はいれなくても、
きっとなにかすてきな夢を実現されそうだ。

わたしは島根県の松江市から益田市への150キロを
ママチャリではしったことがある。
通学用につかうようなまともなママチャリではなく、
24インチのタイヤで、いわゆる ほんとうのママチャリだ。
ふつうにこげば、時速15キロくらいですすむだろう、
そのスピードを10時間つづければいい。
ときどきとる休憩時間を2時間みて、
朝の6時に家を出発すれば、夕方の6時に到着する、と
益田にすむ友人につたえたら、
ほんとうにぴったし6時にまちあわせの店についた。
ママチャリでの移動だから、予定の到着時間は
たいしてあてにならないだろうと、気ながにまっていた友人は、
ちょうど6時についたわたしにおどろいていた。
ついたわたしもおどろいた。まだわかかったのだ。

松江から益田へは、ずっと国道9号線にそってはしるのだけど、
道路は自転車のことを ほとんどかんがえずにつくってあり、
歩道をはしっていると、きゅうに歩道が反対側にうつったり、
そもそも歩道がなかったり、おおきな段差があったりと、
気まぐれでめちゃくちゃな道路づくりに腹がたった。
かといって、車道をはしれば、車からの圧力がすごい。
交通事故をふせぐためにも、安全に自転車をたのしむためにも、
日本の道路つくりは、もっとママチャリライダーへの愛が必要だ。

posted by カルピス at 18:32 | Comment(0) | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年03月10日

体力のまがり角は45歳

半年ぶりで、インターバルトレーニングにとりくむ。
クロールで50メートルを10本、1分15秒ごとにまわる。
3分の休憩をまじえ 3セット、というメニューだ。
はじめは1分そこそこでおよげていても、
つかれるうちに1分10秒となり、
そうなると、やすむ時間は5秒しかない。

くるしみながらも、これまでなら3セットぜんぶ
1分15秒でまわれたのに、
今回は3セットめでとうとう かえれなくなる。
しかたないので、やすむ時間なしにつづけておよいだ。
まえにできていたことが、ある日きゅうにできなくなる。
この半年のあいだに、なにかが確実にかわったのだ。
水泳のように、タイムでしめされるスポーツの残酷なところで、
まわりとくらべて、ではなく、時計によってしらされる。
自分のおとろえをつきつけられ、かなりがっくりきた。

わたしがいつもとりくんでいるのは、
1500メートルをつづけておよぐ、というシンプルなものだ。
ゆっくり、おなじテンポでおよいでいると、
からだと頭が気もちよくなってくる、はずだけど、
じっさいは、ただくるしいだけの1500メートルにおわることがおおい。
そして、タイムもまえよりずっとおそい。
わかいころはあたりまえに30分でおよでいたのが、
だんだんと、かなりがんばらないと30分をきれなくなり、
とうとう、さいごに30分をきったのは、15年まえだ。
5年まえだと33分が平均タイムで、
いまは、調子よくおよげても、37分かかる。
じわじわとおそくなっているのが数字で歴然だ。
タイムだけでなく、フォームもきれいなラインをたもてない。

タイムをふりかえってみると、
わかいころとおなじことができるのは
45歳まで、ということがわかる。
アスリートレベルのまがり角は、
もっとはやい段階にあったのだろうけど、
市民スイマーとしてのさいごのまがり角は45歳だった。
あとはゆっくり、ときどきかけあしで、着実におとろえていく。

1500メートルおよいだあとに脈拍をはかると、
かなりつかれていても140くらいしかあがっていない。
からだがはげしくうごくのを、脳がセーブしているみたいだ。
がんばったら いのちがあぶないので、はやくおよげなくしてるのかも。

村上春樹さんは、70歳をこえたいまでも、
いちねんにいちどはフルマラソンをはしるという。
「まけいくさ」といいながらも大会に出場しつづけるのは、
なにか自分のなかできめていることがあるのだろう。
わたしは新型コロナウイルスによる とりやめがなくても、
このところ大会に参加するモチベーションをたもてず、
エントリーせずにすごしている。
フルマラソンをはしるには、それなりの準備が必要なのに、
いまはその意欲がわいてこない。
なにか、きっかけとなる刺激がほしいところだ。

posted by カルピス at 18:44 | Comment(0) | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月27日

デイリーポータルZの「寒中水泳は楽しい」に むかしをおもいだす

デイリーポータルZの「寒中水泳は楽しい」をよむ。
https://dailyportalz.jp/kiji/Bathing-in-cold_water-is-fun
ほりべのぞみさんが、ベルリンでの寒中水泳を紹介している。
新型コロナウイルスによるロックダウンのせいか、
寒中水泳をやるひとがふえているそうだ。
サウナのかわりに寒中水泳、ということらしい。
入った直後は水が冷たく感じるのだが、1分ぐらいすると不思議と体が慣れてくる。それから数分間は冷たさが逆に心地よくなり、出た後も頭がすごくスッキリする。サウナでいう「ととのう」状態に近い感じがする。

11月くらいなら、まだがまんできそうだけど、
1月になると気温がマイナス6℃、水温が1℃となり、
湖のところどころに氷がはり、すごくつめたそうだ。
健康にいいとか、精神がおちつくとか、いろいろな効用があるようで、
ドイツだけでなく世界的にはやっている、ともある。
温泉だと肩までお湯につかるけど、
寒中水泳でそれをやると手足がひえるので、
だれもがうでをぬらさないポーズをとっている。
それでもつめたい水につかる、というのがおかしい。
みんなただ黙々と入り、上がり、帰っていく。寒中水浴大会でよくある気合いを入れるための声かけや、冷たさに叫ぶ人もほとんどいなく、とても静かなことが印象的だ。

わたしは大学のとき水泳部にはいっており、
毎年1月に寒中水泳をするのがならわしだった。
水泳部なので、水につかるだけでなく、およぐ。
具体的には大橋川という幅200メートルほどの川をおよいでわたる。
水温は5℃くらいだったとおもう。
もちろんつめたいし、寒中水泳をやったからといって、
なにがどうなるわけではない。
伝統行事は、どれもそんなものだろう。
理由はとくにないけど、まえからつづいているので、ことしもやる。

いきなりのつめたい水では、いくらわかくてもたいへんなので、
秋から週にいちどプールにはいって つめたい水になれた。
本番でおよぐ川は、ながれがあるので、
わたるにはあるていどの泳力が必要だ。
なんであんなことをしていたのだろうと、いまはおもう。
十数人の水泳部員が、大声をあげて気合をいれ、水にはいっていく。
ひとりではいやだけど、イベントなので 単純にたのしかった。
あまりにも水がつめたいのでからだの感覚がマヒし、
つめたいとかんじない。かんじるころにはむこう岸についている。

だれにでもおすすめできるレジャーではないけれど、
ほりべさんの記事には、寒中水泳をしてるひとに、
白鳥がちかづいている写真がのっていて、なんだかたのしそうだ。
ドイツ、というか世界的にはやっている寒中水泳が、
日本ではとりくまれないのはなぜだろう。
じじいになりつつあるわたしは、寒中水泳にたえられるだろうか。
昔とった杵柄、ではなく、年よりの冷や水で死んでしまいそうだ。

posted by カルピス at 17:06 | Comment(0) | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする