2021年08月28日

「ぬか」の「なんでそんなんプロジェクト」がすばらしい

ひごろから交流のある7つの介護事業所があつまり、
実践報告会と講演会がひらかれた。
さくねんは、新型コロナウイルスの影響で中止となり、
2年ぶりの報告会となる。3つの事業所が
活動をつうじてかんじたことを発表する。
そのあとは、岡山県ではばひろい活動を展開する「ぬか」のようすを
代表の中野さんがおはなし してくださる。
http://nuca.jp/
コロナの感染がひろがっているなかなので、
Zoomによる講演会となった。
わたしは、なんねんかまえに、「ぬか」を見学している。
そのときも、ものすごく自由な活動におどろいたものだ。
その後も中野さんたちは、おもしろそうな企画をいくつもたちあげ、
ますます活発にうごいておられた。

そのひとつとして「なんでそんなんプロジェクト」がある。
意味がよくわからないことにたいし、
なんでそんなんやるの?と、いちいちつっこんでいく。
よくわからないものを排除するのではなく、
かといって、むりしてわかろうとするのではなく、
わからないままにたのしむプロジェクトだ。
「なんでそんなんやるの?」といいたくなることは、
現場にたくさんおちている。
芸術なのか、表現なのか、よくわからない。
たいせつなのは、それをおもしろいと気づくかどうかで、
職員には、おもしろさを発見する目がもとめられる。
そして、日々の発見・気づきを記録し、蓄積していくこと。
量があつまると、おもしろさがうまれる。

「なんでそんなんプロジェクト」には、
「なんでそんなん大賞」も用意されている。
世界じゅうのひとが、だれでも参加できる賞で、
国籍も年齢もとわない。
フランスの「アンデパンダン展」とよくにた精神だという。

中野さんのおはなしをきいていると、
「ぬか」のとりくみは、わたしがすきなwebサイト、
デイリーポータルZとよくにているのに気づく。
ふつうなら、意味がないときりすてられるような企画に、
おとなたちが正面からむきあっておもしろがる。
わたしたちの事業所は、すこしまじめすぎるのでは、とおもえてきた。
クッキーの仕事をしていると、どうしても衛生に気をつけたり、
生産数を確保したり、販売につとめたりと、
職員がでしゃばる場面がおおくなる。
わたしたちの事業所は、「なんでそんなんプロジェクト」を
たちあげるやわらかな精神があるだろうか。

「ぬか」は障害があるかどうかを あまり意識していない。
障害はあとづけされたもので、
そのひとの特質と関係ないかもしれない。
ひとりひとりの発言や行為じたいに
すぐれた資質がかくされているのであり、
障害があるから特殊だというのは おもいこみでしかない。

中野さんは、「ピンチはピンク」とかかれたTシャツをきておられた。
「ピンチはチャンス」なら だれにでもいえるけど、
「ピンチはピンク」はすごい。
このわけのわからなさを、おもしろがるところが「ぬか」なのだ。

posted by カルピス at 20:41 | Comment(0) | 介護 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年08月12日

グループホームをたてるため、解体作業で「ハウルの動く城」みたいになった家

グループホームをひらくにあたり、
これまで事務所や生活介護につかってきた
ごくふつうの民家をこわすことになった。
更地にして、そこに2階建のグループホームをたてる。
ふるい家をぶちこわすなんてかんたんそうだけど、
ふるいだけにアスベストをつかっているかもしれないので、
しんちょうに解体作業をすすめる必要があるそうだ。
すこしずつ、丁寧にこわしていく過程であらわれた家は、
どこかでみたような気がする。『ハウルの動く城』だった。
4pHAolphJ-3KpyvG6F6JW3gccGvwxWQK9G2hH_j2NXnR8du0jX47VXPJFDBZ_ECKMI2Qm0TlzDrTXey9IJgnE-N7Ps_ZCb7qOOMJP4ZEfdY9jESezTVeeCPr9iDrBYkVIs4H1tl30OlBCLViAWu--SsjilRn1NYZ3fmXWHep7syDwD3rooU2dL23quDTta-PfgPtgR0q8W88Y-HySvF6GRZU.jpg
わたしたちの家は、トイレがさいごにのこされた。
まえからあったトイレだけではつかいにくいので、
車イスでもうごけるような、ひろいトイレを
あとからたてまししており、
そのトイレの部分だけがそっくりのこった。
「ハウル」でいえば、城のようにおおきな家だった「ハウル」が
しきりなおしのあと、必要最小限の機能だけとなり、
カルシファーとマルクル、それにカカシだけ
(もちろんソフィーも)をのせて旅にでる。
トイレだけになったわたしたちの家は、
まさにこのときの「ハウル」だった。
たいらにならされた土地に、トイレだけがぽつねんとのこっている。
なかなかシュールなながめだったけど、
重機がじきにこわしてダンプにつみこんだ。
2階だてで、テラスもあり、庭には数本の木がはえ、
車を7台とめられた わりとひろい敷地は、
あとにひとやまのガレキだけをのこし、更地となった。
3vAkdRCEeoILm16B0Pv2PGqQbcdPsiWjFMEWgMKWRm9ctWYHIKXGk_JubGkS5OzoozqtYHLUQDxYYL0ch-3RNus6kHhZcyATZCmPIuW0tc6W8UUsZQzk5u4-CbGG1wuyhsZfd3fMn-HLSRvc0cOKIGyg30-yhY0YyyOoB6mtVPfOO6AFYRx0bqZlK6G8_qDUxGx464v3Oyqs0HifDfUX1LcE.jpg
更地になった土地は、このあと3ヶ月ほどねかせるそうだ。
そのあとグループホームの建築にとりかかり、
グループホームがうごきだすのは来年度となる。
予定では、ことしの9月からはじめられるとおもっていたのに、
なんだかんだと、計画は順調におくれてしまった。
とはいえ、もし9月からグループホームがうごきだしたとしたら、
とても準備がまにあわなかっただろう。
家はたっても、そこではたらくスタッフがぜんぜんたりない。
いまいる職員でやりくりするのが無理なのはあきらかだ。
とまるひと、利用者をサポートするひと、支援計画をたてるひと。
あたらしいひとをまきこんで、たくさんのひとがかかわらないと、
グループホームでの生活がスムーズにながれない。
半年後にひらかれるはずの、あたらしいグループホームは、
この土地で、どんな生活をスタートさせるだろうか。

posted by カルピス at 21:36 | Comment(0) | 介護 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月24日

4名の新成人を おいわいする

職場の介護施設(生活介護・就労継続支援B)で
成人をいわう会がもよおされた。
もともとは1月に予定されていたものが、
新型コロナウイルスの影響で延期となり、きょうとなった。
おりから、全国的に第4波の感染がひろがりつつあり、
島根県でも このなんにちか、複数の感染者がでている。
ひさしぶりにリアルなこわさをかんじる状況となった。
それでも、会をまたのばすよりも、
感染に配慮したかたちで実行しようと、
予定どおり4名の新成人をいわった。

ひとりひとりの新成人にたいし、
職員がおいわいのことばをのべる。
学校でお世話になった先生方もおまねきし、
生徒だったときのようすもうかがった。
誕生からこんにちにいたるまでの写真が
映像として編集され、赤ちゃんだったころや、
学校での行事にとりくむ姿が紹介される。
運動会でのたのしそうな笑顔や、
あたらしい体験に胸をときめかせている真剣な表情、
保護者たちがほほえむ しあわせそうな写真をみると、
おさなかったころからの成長がしのばれる。
わたしたちは、彼・彼女たちと大切なひとときをともにすごし、
いまは人生の節目にたちあっているのだと、エリをただされる。
3yPqfyD97u7cY1xRoOiPeEKrtOoSTnAg1S_L0HnkDj9ZezLrFI5jezZJClTBtJqG2ZlKmt0oy979aJpipd4YaHbJ0mLIgaQa2zhap72HFFTDvptAhBQBAhKn_MeTpYlJlDP1NChmvqYJVh8s0XhpYXYEM3ZVI0lVUwyL3Tivd7hesvHFQvcLuDbqZSuwlsxBF8DPUsaUmc0uzagWoEGmGU0R.jpg
新成人のひとりは、いつもとちがう場所や雰囲気にとまどい、
なかなか会場にはいることができなかった。
式のながれがとまりそうになっても、
その方が部屋にはいれるまであわてずにまちつづけ、
さいごにはピッタリと記念写真におさることができた。
スムーズな進行にこだわのではなく、
その方の障害特性に配慮した対応が印象にのこる。
にぎやかで、おいわいのあたたかい雰囲気にみちた会となった。

posted by カルピス at 15:29 | Comment(0) | 介護 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月11日

車いすをおしているひとをみると、挨拶をしたくなる心理がよくわからない

障害者介護という仕事がら、車いすにのった方と、
町なかや宍道湖岸をよく散歩する。
そんなときは、なぜか挨拶をうけやすいようだ。
車いすだけでなく、障害をもっていると、
外見からわかるひととあるいていても、挨拶されやすい。
このまえはジョギングちゅうのランナーに、
すれちがいざま「こんにちは」 、
うしろからおいぬくときに
「きょうは天気がよくて気もちいいですね」
とおなじ方から声をかけられた。
挨拶されてわるい気はしないけど、
ひとりであるいているひとには挨拶しないのに、
車いすにのっているひと、車いすをおしているひとには、
挨拶したくなる心理とはなんなのだろうか。

ちいさな子どもをつれた女性は、
かなりたかい確率で挨拶してくれるし、
中学生くらいの男の子にも、
「こんにちは」をときどきいわれる。
自発的な挨拶なのか、それとも
学校で、車いすでおでかけしているひとをみかけたら、
挨拶しましょう、とはなされているのだろうか。

わたしは、もともと挨拶したくなるタイプのようで、
通学ちゅうの高校生から挨拶されて
おどろくことがときどきある。
ジョギングをしてるときも、ときどき挨拶される。
挨拶したくなるタイプの男(わたしのことだ)が
車いすをおしていたら、挨拶したくなる条件がそろい、
相乗効果で つい挨拶してしまうのだろうか。
挨拶するのはいいことだとおもうけど、車いすの、
あるいは、わたしのどこが挨拶をまねくのか 不思議な気がする。
挨拶をしたくなる心理が、いまひとつよくわからない。

いっぽうで、わたしはひとから無視されやすいタイプだ。
たとえば居酒屋で店員さんに声をかけても、
すぐに反応してくれることはまずない。
スーパーのレジにならんでいても、
店員さんにスルーされることもある。
180センチと、背はたかいけど、存在感がどこか希薄なのだ。
わたしは声がちいさく、パッションもとぼしいため、
相手に悪気はなくても、無意識のうちに
わたしをメンバーとしてカウントしない心理がはたらくようだ。
挨拶したくなるタイプのはずなのに、
存在は目にはいりにくい、というのがおもしろい。

posted by カルピス at 21:37 | Comment(0) | 介護 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年03月04日

クッキー工房で「永遠の初心者」なわたし

「チャリダー 」(NHK-BS)のレギュラーである朝比奈彩さんは、
「永遠の初心者」とよばれ、何年たっても自転車のうでがあがらない。
「永遠の初心者」は、初心をわすれない、
という意味においてはいいこころがけだけど、
技術のほうが永遠にあがらないのであれば問題となる。
朝比奈さんは、いつまでたっても坂がにがてだし、
はしる距離がながくなっても すぐにへこたれる。
「永遠の初心者」たるゆえんだ。

わたしはクッキー工房に5年いるけど、
いまだにひとりで生地をつくれず、
オーブンでクッキーをやくのは最近ならったものの、
さいごのしあげとして、
粉糖や抹茶パウダーをまぶしたりができない。
朝比奈さんをおもいだし、「永遠の初心者」です、といって
あたらしくクッキー工房にくわわった職員に自己紹介したとき、
ほんとうに「永遠の初心者」の名がぴったりだとおもった。
やる気があれば、生地のつくりかたや、
さいごのしあげ方なんて、すぐにおぼえられるだろうに、
5年もいながら ズルズルとなにもできないまま すごしてきた。

もうひとつべつのいいかたもあって、
それが「クッキー班のショムニ」だ。
かいものや銀行での入金など、
雑用をこなすのがわたしのおもな役割となっており、
いちばん得意な仕事はシールをカッターできること。
すこし説明すると、クッキー工房でつかっているのは、
あらかじめ一枚いちまいはがれるシールではなく、
A4サイズのシートを印刷したあと、
カッターナイフできれめをいれてつかっている。
カッターナイフのきれ味によって ちから加減が必要で、
そしてナイフはつかううちに、どうしてもきれ味がおちる。
刃をかえるみきわめはかなりむつかしく、
「芸」といえないこともない。
とはいえ、クッキーと直接関係のない仕事にはかわりなく、
クッキー工房でのわたしのポジションは、
いなくてもたいしてかわりない、にかなりちかい。

毎年この時期になると、4月からの配置がちらほら話題になる。
わたしがつとめる事業所は、規模がちいさいので、
さほどおおきな移動があるわけではないけど、
それでもいくらかの変化がおき、さざなみがたつ。
わたしは、4月からもおなじ仕事がわりあてられそうだ。
あたらしくはいる利用者がいて、クッキー工房の環境は
すこしずつかわっていく。
率先してわたしが生地をつくれるようになれば、
クッキー工房のレベルはあがるだろうけど、
あまりわたしに それはもとめられていないような気がする。
気のつかいすぎだろうか、つかわなすぎだろうか。
「ほぼ日」に糸井さんがかいていた、
「たのしくても仕事はできる」
の精神がわたしはすきだ。
4月からも、たのしんで仕事にとりくみたい。
永遠の初心者として。

posted by カルピス at 21:24 | Comment(0) | 介護 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする