2021年01月29日

「なごり雪」の世界はいつまでもせつない

朝日新聞土曜日版beの「今こそ聴きたい」で、
「旅の歌」を特集していた。
1位は「いい日旅立ち」(山口百恵)で、
2位に「なごり雪」(かぐや姫)がえらばれている。
記事では、「なごり雪」について、読者の体験を紹介している。
東京を去る恋人を駅のホームで見送る歌詞に自身の体験を重ねた読者が少なくない。(中略)島根の女性(60)も別れた恋人が県外に就職することになり、JR松江駅で見送ったことは「青春の苦い思い出」と振り返った。

松江にすみ、年齢も60にちかいわたしは、
この記事に注目しないわけにいかない。
「別れた恋人が県外に就職することになり」とあるから、
みおくった時点では、すでにわかれており、
島根出身の「元カレ」が県外にでていく、という状況だ。
なぜわかれた恋人のみおくりにいったのかはわからない。
もういちどよりをもどしたい気もちがあったのか、
それとも完全なわかれとしてケジメをつけたかったのか。
「青春の苦い思い出」とあるのは、
みおくりに いかなければよかった、という後悔か、
恋愛自体が「苦い思い出」だったのか。

この歌は、東京でのみおくり、という設定で、
でもあまりおおきな駅ではしんみりしたわかれになじまない。
東京駅にむかう、ちいさな駅でのできごととしたほうがしっくりくる。
その点、松江駅はぴったりだ。
県庁所在地の駅でありながら、それほどおおきくはなく、
かといって、島根によくある無人駅でもない。
わたしとほぼおなじ年齢の女性が、
あの松江駅でおもいでをきざんだといわれると
なんだかひとごとにおもえない。

たいていのできごとは、時間がたってしまえば
いいおもいでになりそうだけど、
そうではないわかれもある。
「なごり雪」の歌詞から状況をえがいてみると、
「苦い思い出」としかいえない体験におもえる。
ただかなしい、さみしいとうたうのではなく、
「青春の苦い思い出」をかんじさせるから、
「なごり雪」はいつまでも せつないのではないか。

posted by カルピス at 18:53 | Comment(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月25日

ラジオ局には巨大なレコード部屋があるのか

地元のラジオ放送(AM)に、「音楽の風車」という番組があり、
ただリクエスト曲をながすだけというスタイルをつづけている。
1954年の開局いらいの放送というから もう66年になる長寿番組だ。
1曲おわるたびにコマーシャルがはいり、
午前11時から1時まえまでの2時間、
20ちかくのリクエスト曲がながれる。
はんぶんくらいのリクエストが演歌なので、
わたしはあまりすきではないけど、
ほかのメンバーには人気があり、おひるごろ車ではしるときは、
なんとなくこの番組をきくことがおおい。

すごくふるい曲から、最近の曲まで、
洋楽以外はなんでもリクエストされるので、
お客の要望にこたえるのはたいへんそうだ。
ふるいドラマの主題歌や、アニメの主題歌、
最新の歌謡曲まで、どうやってコレクションしているのだろう。
このまえふとおもったのだけど、
ラジオ局って、リクエストにこたえるために、
膨大なレコードやCDを保管する ひろい部屋があるにちがいない。
図書館だったら、いっぱんの棚にくわえ、閉架書庫なんかがあり、
あまりかりだされなくなった本は そこで保管されている。
では、音楽については、どんな管理体制なのだろう。
かんがえてみれば、「音楽の風車」にかぎらず、
リクエストにこたえるコーナーがある番組は
どれもおなじ問題をかかえている。
どの局にも、巨大なレコード部屋が完備されていたらたのしいけど、
あらゆる曲を、ぜんぶ用意するのは不可能だから、
デジタルデーターもつかっているのではないか。

映画『グッドモーニング、ベトナム』では、
ディスクジョッキーをうけもつ米軍の兵士が、
放送室の棚からレコードをえらび、番組でながしていた。
ロビン=ウィリアムスがはでにしゃべりまくり、
レコードを円盤なげして、プレーヤーにのせていく。
そのイメージがつよくのこったようで、
ラジオ番組というと、ディスクジョッキーが とっかえひっかえ
レコードをひっぱりだしてくるような気がしている。
いまの時代、どんなやりかたで、リクエストにこたえているのか。
しらべればすぐわかりそうだけど、
しりたいような、しりたくないような。

posted by カルピス at 21:03 | Comment(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月24日

レコードのうりあげがCDをうわまわる

ラジオをきいていたら、欧米では
レコードのうりあげが、CDをうわまわった、といっていた。
アメリカは、サブスクリプションがほとんどで、
CDをみたことのない若者がふつうにいる、
というのをしばらくまえにきき、
時代がかわったことをかんじたものだ。
まさかCDがさらに需要をおとし、
レコードよりきかれなくなるとは。
40年まえにCDにおいぬかれたレコードが、
いつのまにか復活して、CDをおいぬく、
というのが教訓にみちている。
勝負がついたようでいて、ついてなかったのだ。

レコードをCDに録音できるプレーヤーが
新聞の広告にときどきのっている。
もっているレコードがだめになるまえに、
CDにしておきましょうという、
いまの価値観からいうと余計なお世話におもえる。
デジタルによわい中高年を対象としたサービスなのではないか。
ふるくからもっているレコードを、CDというデジタルデーターへ、
かたちをかえてきくのだから、欧米のながれとは真逆の方向だ。

とおもったら、アマゾンでレコードプレーヤーをみてみると、
レコードからUSBにデーターをうつせる機種が
ふつうにうられているので、よくわからない。
レコードできくのか、デジタルデーターにして
ブルートゥーススピーカーできくのか、どっちなんだ。
レコードをまわしながら、ちょくせつ
ブルートゥーススピーカーできくのもありなようで、
レコードのあたたかい音と、デジタルデーターのあつかいやすさを、
いいとこどりしていておもしろい。
CDほどクリアな音ではないのに、レコードの人気が復活するのは、
わかいひとたちにとって、デジタルにはないわずらわしさが
かえって新鮮なのだろうか。

CDがレコードをおいやったとき、
わたしはもっていたレコードをぜんぶすてた。
音楽を、レコードという形できくことは
もうないだろうとおもったのに、まさかまたレコードが復活するとは。
いまわたしがもっている30枚弱のレコードは、
20年ほどまえにバザーでかったものだ。
バザーにレコードをだしたひとは かなりミーハーだったらしく、
ベストアルバムやグレイテスト・ヒットがおおい。
ピンクフロイドやディープパープルのベストがあるし、
「ゴーストバスターズ」に「コーラスライン」のサントラ盤と、
わたしむけのラインナップがありがたい。
そのなかの1枚にオーティス=レディングの
グレイテスト・ヒットがあり、お酒をのんでよっぱらうと、
「The Dock of the Bay」をききたくなるので、
もうずっとプレーヤーにのせたままにしてある。
レコードからきこえてくる雑音が、この曲の雰囲気をたかめる。

ネコたちにとっても、レコードプレーヤーは魅力的な機械だ。
プレーヤーの透明なふたにのり、からだのしたで
ぐるぐるまわるレコードを 不思議そうにみている。
ときどきひっかこうとして、針がとんでしまうこともある。
レコードの復活は、ネコたちにとってもまた
よろこばしいニュースにちがいない。

posted by カルピス at 21:49 | Comment(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月14日

「ベートーベン〜推し曲総選挙!」の1位に交響曲第7番

「かけるクラシック」(NHK-FM)をきいていたら、
「われらのアイドル、ベートーベン〜推し曲総選挙!」をやっていた。
先日の記事に、わたしがベートーベンの曲でいちばんすきなのは、
交響曲第7番とかいたけど、その第7番が1位にえらばれていた。
「運命」や「田園」でなかったのは意外だけど、
「推す」側として、ベタすぎる曲を、
あげたくないという心理は理解できる。
それに、なんといっても第7番はゴージャスだ。
いたりつくせりのはなやかさは、
あまりクラシックに縁のないわたしをも いい気もちにさせる。

第7番を おしたひとのコメントは どれも自信満々だった。
「第7番」がいちばんにきまっている、と確信にみちている。
自分がすきなのは第7番で、
1位にえらばれるのも7番と、すごい自信だ。
番組担当の市川さんと上野は、予想外の曲名だったので、
1位の発表にざわついていたし、「のだめ」の影響も口にされていた。
わたしが第7をすきなのは、まさに「のだめ」をみたからであり、
この曲が1位にえらばれたのは、うれしいような、
ミーハー印をきっちりおされたようで、残念でもある。
第7番は、ふかく音楽をあいするひとからも、
「のだめ」でクラシックにしたしみだしたミーハーにも、
ひろく支持されるからこそ 堂々の第1位となったのだろう。

第7番をおしたひとが、この曲とビールの相性について
あつくかたるコメントをよせていた。
1位が第7番だったら、冷蔵庫からビールをとってきたいので、
曲をかけるまえにすこし時間をください、とまで念がいっている。
テレビの音をけして、第7番をかけながら
選挙の速報番組をみるとピッタリ、ともおしえてくれた。
いろんなたのしみ方があるもので、それもまた第7番ならではだろう。
ふつうだったら、クラシックとビールは、
なんとなくちがうんじゃないか、という気がするけど、
ワインやウィスキーではなく、あえてビールをもってくるところが
腰のはいった第7番ファンをかんじさせる。

posted by カルピス at 21:37 | Comment(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月11日

「クラッシックカフェ」でのベートーベン交響曲第6番「田園」ききまくり

「クラッシックカフェ」(NHK-FM)では、
ベートーベンの生誕250年にあわせ、
ことしはこれまでになんどもベートーベン特集をくんできた。
最終回となる第14回は、交響曲第6番「田園」のききまくり、
という、なかなか体験できない形での特集だった。
おなじ曲が、指揮者によりどれだけちがう演奏となるか。
冒頭部分の一部を7つ、5楽章の一部を5つ、
まったくべつの演奏を、収録がふるい順にきかせてくれた。
わたしの耳でも、ゆったりした演奏と、
ものすごくゆったりした演奏とのちがいがわかる。
番組の最後には、セルジュ=チェリビダッケ指揮による、
いちばんゆっくりな演奏で、全曲がながされた。

「ききまくり」で演奏されたなかには、
1944年のベルリンで収録されたものもふくまれている。
敗戦のいちねんまえ、ベルリンは混乱をきわめていただろうに、
いまでも音源がのこる演奏が収録されていたのにおどろく。
日本でおなじことがなされるとは、かんがえにくい。
ヨーロッパで、クラシック音楽がどれだけふかく
くらしに根づいているかのあらわれではないだろうか。

5年まえにネット上でやりとりされた「村上さんのところ」では、
音楽についての質問もおおかった。
ブラームスのピアノ協奏曲第一番について、
おすすめのCDを読者からたずねられたところ、
ちょっとレコード棚を調べてみたんですが、うちには「ブラいち」(と呼んでいます)だけで14枚もありました(うちCDが3枚)。

と村上さんはこたえている。
そのあと「私見ですが」と、
ものすごくくわしいブラいち とブラに のはなしがつづく。
曲はいっしょでも、演奏によるちがいがききわけられるひとには、
それぞれの味をたのしめるのだろう。

ベートーベンの交響曲でわたしがすきなのは第7番で、
いろいろききくらべた結果ではもちろんなく、
「のだめ」でよくきいたから、という
にわかファンらしい かるい理由でしかない。

posted by カルピス at 18:00 | Comment(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする