2016年09月07日

『鷹の爪8 吉田くんのXファイル』

『鷹の爪8 吉田くんのXファイル』

このまえみた『シン・ゴジラ』は、
予告編を10分以上みせられ、
「違法コピーは犯罪です」、のマナームービーがおわって
いよいよ本編が、とおもっていたところに
また予告編がはじまりと、
本編のまえにうんざりしてしまった。
『シン・ゴジラ』のおもしろさはみとめつつも、
映画鑑賞に期待する非日常性としては いただけない。
きょうみた『鷹の爪8』は、予告編がすくないし、
マナームービーのあとすぐ本編がはじまった点を
たかく評価したい。

内容は・・・、テレビ編に毛のはえたようなストーリー、
とおもわせながら、さいごは伏線をじょうずにいかして
それなりにまとめている。
みおわったときのすがすがしい気分は わるくなかった。
ただ、絵はこれまでの劇場版 鷹の爪のなかで、
いちばんひどいのではないか。
有力なスポンサーがつかなかったせいか、
今回はバジェットゲージがつかわれず、
全編をとおしてひくい作画レベルがたもたれている。
劇場版第3作に登場した「博士の動く城」の
めちゃくちゃたかいクオリティが いまとなってはなつかしい。

『鷹の爪8』は、TV版鷹の爪の集大成といえる。
フロッグマン氏の頭にうかんだアイデアを、
そのままちからずくで映像化したら
こんな作品ができあがった、というかんじだ。
10年の経験によって、フロッグマン氏は
それだけのちからを身につけてきた。
いまのフロッグマン氏にとって、
この程度の作品をつくるのは わけなかったのではないか。

総統もレオナルド博士もほとんどでてこないので
「秘密結社鷹の爪」の活躍をめあてのひとは
かたすかしをくいそうだ。
吉田くんに焦点をあてた作品であり、
いまは鷹の爪団の戦闘主任でしかない吉田くんだけど、
ちかい将来に 意外なポジションにつく可能性が示唆されている。

お客さんは、わたしをいれて5人だけだった。
そのうち ひとりの男性は、
上映ちゅうに、セリフのひとこと ひとことに
いちいち大声でわらうのが不自然だった。
コアなファンなのだろう、5人とも エンドロールを
さいごまでみとどけてから席をはなれた。

posted by カルピス at 23:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | 鷹の爪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月08日

「鷹の爪団の吉田くんはなぜいつもおこったような顔をしているのか」 の謎があきらかとなる

先日かったムック本『クソアニメと呼ばれて10年』
〜『秘密結社鷹の爪』10年史〜
をこまかくよみこむ(というほどの本ではないけど)。
おもなキャラクターがうまれたいきさつがのっていて、
それによると吉田くんのあのおこったような表情について、
「何であんなしかめっ面をしているのか」とよく聞かれます。当時は、一癖あったほうがいいかなと思ったんですよ。しかめっ面だけど、かわいい。そんな造形にできたらとデザインしました。ただ、もう少し柔らかい表情にしたほうが、より多くの方に受け入れられたかもしれません(苦笑)。

と作者のフロッグマン氏がコメントしている。

国語の試験なんかで、
「作者の意図するところはつぎのうちどれか」
みたいな質問があり、
学生は真剣にかんがえるものの、
作者だって 自分がなにをかんがえて
そんなことをかいたのか、よくわからない、
なんてはなしをときどき耳にする。
今回の場合、
フロッグマン氏がはっきりと
「しかめっ面」の理由をのべているのだから
まちがいないだろう。
あっけなく「なぜ」が あきらかになった。

わたしのブログのタイトルは、
「鷹の爪団の吉田くんはなぜいつもおこったような顔をしているのか」
としており、
アニメのキャラクターらしくない「しかめっ面」に、
わたしは吉田くんをはじめてみたときから疑問をかんじていた。
それがこうして作者みずから「謎」をあかしてくれたのは
さいわいといえるだろう。
とはいえ、作者が「誕生秘話」をあかしても、
長年の謎がとけ、すっきりしたわけではない。
やっぱりその程度のことだったのかと、
すこし残念におもうくらいだ。

こたえがわかった以上、
いつまでもタイトルに疑問文をかかげるのはおかしいので、
「鷹の爪団の吉田くんはいつもおこったような顔をしている」
と修正したいところだけど、
それもまたへんなかんじだ。

この本でいちばんよみごたえがあるのは
フロッグマン氏への2本のインタビューだ。
奥さんの地元である島根の田舎にひっこんで、
フラッシュアニメをつくりはじめたころの貧乏ばなしは
胸にせまる。
どうかんがえても税別1400円はたかいけど、
10年間、よくつづけましたね、という
ごほうびの意味をこめて
ファンなら手にとりたくなるだろう。

posted by カルピス at 22:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | 鷹の爪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月05日

別冊「鷹の爪」〜『秘密結社鷹の爪』10年史〜

本屋さんをぶらついていたら、
『クソアニメと呼ばれて10年』
〜『秘密結社鷹の爪』10年史〜が目についた。
A4サイズのムック本で、
税別1400円とたかいけど、鷹の爪ファンとしては
かわないわけにはいかない。
「思い出の発明品」には、わたしのすきな怪人、
ゴギファップンゴロッパンベレラもおさめられているし。

本のなかをのぞいてみると、
フロッグマン氏へのインタビューがあるとはいえ、
全体としてはすごくやすっぽい。
でも、くりかえすけど、ファンとしてはしょうがないのだ。
しょうがないというよりも、
まったく別の次元でわたしはハイ状態となり、
まえに図書館でかりてよんだコーマック=マッカーシーの
『すべての美しい馬』や、
ドストエフスキーの『罪と罰』(光文社文庫・亀山郁夫:訳)全3冊、
そのほかにも新書2冊と、ふだんならかわないような本を手にとった。
あきらかにあぶない脳内物質が分泌され、
脳が正常な機能をうしなっている。
いったいわたしのからだになにをしたのだ、鷹の爪団。

本をひらくと、レオナルド博士の白衣をきせかえよう、とか、
「あらゆる謝罪の場面で活躍」する吉田くんの反省文など、
どーでもいい付録がついている。
コアなファンからとぼしいおこづかいをむしりとろうとする
意図がみえみえの別冊形式なのに、
わかっていながらファンとしてはどうしようもない。
本屋さんで7000円以上しらはったのは ひさしぶりだ。
さらにまだわたしの血はおらまらず、
ちかくをあるいているひとに、
「調子いいですか?」と声をかけたくなってくる。
すごい鷹の爪効果だ。逆上といっていい。
家にもどり、かった本を机につみあげ、
しばしわたしは しあわせにひたった。
瞬間でわたしをべつの世界につれていった「鷹の爪」。
であってから、もう10年になるのか。

posted by カルピス at 20:20 | Comment(0) | TrackBack(0) | 鷹の爪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月09日

吉田くんが松江城のいちにち城主に

鷹の爪団の吉田くんが、
松江城のいちにち城主をつとめたと、
朝日新聞の島根版がつたえている。
国宝に指定されてから1年がたつのを
おいわいするイベントらしい。
国宝に指定されるのが、なぜめでたいのか
わたしにはわからず、
国宝に関してのうごきに否定的だったけど、
吉田くんがからんできたらはなしはべつだ。
「いちにち警察署長」など、
「いちにち◯◯」も、わたしのきらいなイベントだけど、
吉田くんに松江城のなにかをおねがいするとしたら、
いちにち城主しかないようにもおもえる。
世界征服の実現が鷹の爪団の目標なのだから、
お城との相性はわるくないはずだ。

吉田くんのきぐるみは、
残念ながらまったくかわいくない。
総統のきぐるみも、そこらへんの「おやじ」でしかなく、
ふたりがいっしょにうたっておどる
ビットワールドのエンディングは
かなり異様な雰囲気をかもしだしている。
そんないかしてない吉田くんにでむかえられた観光客は、
鷹の爪をしらないひとはとくに、
かなりとまどったとおもう。
いったいなぜこのへんなきぐるみが
「いちにち城主」で、世界征服とからめて
わけのわからない抱負をかたるのか。

そんな吉田くんについて、
「現代っぽい。それはそれで特徴があってよいのでは」
と、はじめて松江城をおとずれた方の感想が
新聞の記事にはのせられている。
理解にくるしむ かわいくないきぐるみについて、
こんな表現でしか、とまどいをあらわせなかったのではないか。
かわいさがうりものでない吉田くんは、
いちばん きぐるみにしてはいけないタイプのキャラクターだ。
アメリカなんかだと、あんがいすんなりうけいれられるかも。
吉田くんのきぐるみ.jpg
すこしまえには、松江城を舞台にしたイベント
『鷹の爪団のSHIROZEME』がイベント大賞を受賞している。
http://www.oricon.co.jp/news/2074431/full/
「SHIROZEME」とは、
本物のお城でリアル城攻め」を行うイベント。2015年11月に島根・松江城で開催され、参加者たちが実際に甲冑を着て、門破り、石垣上り、白兵戦など、戦国武将さながらの体験ができるアトラクションイベント。
 審査員からは、甲冑によるコスプレの要素とゲーム性の高さ、国宝松江城を実際の舞台に使うリアル感、さらに、経済振興に大きく貢献したことなどを評価され、「最優秀賞 経済産業大臣賞(イベント大賞)」を受賞した。

FROGMAN氏のコメントが、受賞の背景を適切に解説している。
でも、イベントの内容自体はそれほど斬新でもないのです。歴史好きからすれば、誰もが一度は夢想することを、単に形にしただけですから。一番の課題は、『こんな企画を許すか許さないか?』それがすべてでした。ですから今回の受賞のMVPは、まさに松浦市長と松江市の皆さんでしょう!

吉田くんのいちにち城主は、
このイベント大賞をうけての企画らしい。
もうすこし「かわいい」きぐるみにしたほうがいいような気がするし、
「かわいくない」のが吉田くんのもちあじなのだから
あれでいいようにもおもう。
かわいくない吉田くんでもいいやと、城主にえらんだのも、
松江市民のヒットといえるだろう。

posted by カルピス at 19:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | 鷹の爪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月10日

いまさらながら「島根は鳥取の左側です」

毎週金曜日に3時間ほどハーブショップでアルバイトをしている。
仕事がおわり、おつかれさまのコーヒーをのんでいるとき、
お客さんからとどいたメールを店長がよみあげてくれた。
丁寧に苗が梱包してあり、なが旅にもかかわらず、
まったく問題なくとどきました、と
東京にすむ方がメールでお礼をつたえてこられたのだ。
かわいいこの子たちが、鳥取からはるばるやってきたとおもうと
さらにいとおしくかんじられます、とある。
むねがあつくなるような、非常にいいはなしで、
お店としても こうしてお礼のメールをいただけるのは
とてもうれしかったにちがいない。

問題は、お店があるのは鳥取ではなく島根という事実で、
このお客さんは、島根と鳥取を完全にまちがえておられる。
「グーグルマップをみると、お店がある場所は、
そんなに山のなかではないようですね」と、
ネットでたしかめてもなおかつ、
お店は鳥取にあるとおもいこんでいる。

いまさら解説するのもなんだけど、
鷹の爪団の吉田くんによる有名な自虐ギャグに、
「島根は鳥取の左側です」がある。
島根県は、都道府県ちゅう、47番目に知名度がひくく、
そのひくさを逆手にとったフレーズだ。

「いいえ、砂丘はありません」
「砂丘は無えって言ってんだろ!」

など、鳥取とからめたネタもおおい。
島根と鳥取は、おおくのひとたちからみると、
どっちがどっちなのか、みわけがつきにくいらしく、
島根と鳥取をセットにすると自虐性がます。
「島根は鳥取の左側です」は、
鷹の爪でもかなり初期にかたられており、
いわば島根を象徴する自虐ギャグといえる。

しかし、それはもう過去の出来事であり、
いまではさすがに島根がどこにあるのかぐらい、
全国民が一般常識として理解しているとおもっていた。
店長がよんでくれたメールは、そんなわたしのあまい認識を、
いっきょに現実へとひきもどす。
鷹の爪団が、これだけしつこく 島根を宣伝しても、
状況はかわらなかったのだ。
メールにつづられた文面からは、
お客さんのまじめそうなひとがらがつたわってくる。
でありながらなお、
あいかわらず島根と鳥取がとりちがえられているだけに、
問題の根は予想外にふかく、
ひろい範囲にひろがっているとみたほうがいい。

これからは、自虐ギャグを一歩すすめて
社会科で必修のフレーズとしたほうがいいかもしれない。
歴史の年号をごろあわせでおぼえるように、
島根と鳥取の地理的な関係をただしく理解するために、
「島根は鳥取の左側です」
「いいえ、砂丘はありません」
をくりかえし学習する。
英語の単語だって、50回ぐらい反復しておぼえるのだから、
数回となえただけで安心せずに、
無意識で口についてくるくらい なんども復習する。
そうした意味では、鷹の爪団がでてくる番組「ビットワールド」が
この春でおわってしまったのはいたかった。
島根の知名度は、すこしぐらいの映像化では、
びくともしないくらいひくい。
残念というよりも、すこし安心したりするところに、
島根県民の複雑な心境がうかがえるわけだけど。

posted by カルピス at 21:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | 鷹の爪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする