2015年06月24日

劇団ハタチ族の公演『ナニモナイ』がすばらしかった

劇団ハタチ族の公演をみにいく。
演題は『ナニモナイ』。脚本は西藤さんだ。

フラワーカンパニーズの『この胸の中だけ』がながれるなか、
役者ふたり(西藤さんと大原さん)が舞台にあらわれる。
BGMというより、この曲をふくらませたのが今回の『ナニモナイ』だ。
でもほんとうは、そういいきれるほどシンプルではなくて、
はなしが二転三転していき、みてるほうはあっけにとられる。
おっさん役の西藤さんが、きゅうに少年のつきびとになってへこへこしたり、
いきなりふたりが漫才をはじめたり。
とおもったら、少年はネタをわすれ、おっさんひとりの漫才になってしまう。
こんなシナリオをよくかいて、演じたものだ。
わからないけどひきこまれる。
西藤さんの狂気をかんじる作品だった。
西藤さんがやりたいのは、こういう劇なんだ、きっと。
そしてそれは、とても魅力があった。

ホールの入口が舞台になっており、
外の音がつつぬけではいってくる。
なにかの会がおわったのか、
おじさんたちが雑談しながら、ゾロゾロと建物の外にむかう。
やかましくて、気をそがれるトホホな環境だ。
そんな舞台で、ハタチ族はまいにち芝居をうっている。
そのうちもっとちからをつけて、
そんなときもあったねと、ハタチ族もお客さんたちも、
とおくをみる目で ふりかえるようになるだろう。
『この胸の中だけ』の世界だ。

一年間まいにち公演をする、365日連続公演プロジェクトにわたしはしびれた。
なんて無謀で わかものらしいこころみだろう。
そうはいっても、わたしにできるのは、演劇をみにいくことしかないので、
毎月1回はでかけることにする。
東京だけでなく、地方にも日常的に演劇とふれあう場を、
というポリシーがすばらしい。
『ナニモナイ』をみていて、
わたしが応援しているというよりも、応援されているのだとおもった。
やりたいことを、じっさいにこうして形にしているひとたちがいる。
こんな劇団が地元にあるのは、とてもありがたいことだ。

365日公演だけでもたいへんなのに、
西藤さんはさらにべつの劇団もはじめるのだという。
http://20zoku.jp/?p=1758
ハタチ族を解散するのではなく、
(西藤さんは)島根に劇団100個できたら、いいなって思っていたとか。
もう、待ちきれないから自分でつくっちゃえ!!ってことらしいです。
役者をやってみたい人も、スタッフに興味がある人も、何かを始めたい人も、いろんな、いろーんな人に呼びかけて、イチから作りたいのだそうです。
演劇の楽しさだったり、やりがいだったり、大変さだったり・・・。
そういうの、ぜーんぶひっくるめて演劇の魅力。
その魅力を直接、伝えることができるのは、やっぱり実際に演劇に触れてもらうしかない!
たくさんの人と演劇を楽しみたいーーー!!のだそうです。(石原ちみ)

わたしたちは、西藤将人がまだなにものかをしらない。
このひとは、いったいこれからなにをしでかしてくれるのか。
やはり、わたしたちは応援してるのではなく、応援されているのだ。

posted by カルピス at 13:19 | Comment(0) | TrackBack(0) | 演劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月22日

『演劇入門』にとりくむ「劇団ハタチ族」へ あついエールをおくる

ゆうべは「劇団ハタチ族」の劇をみに雲南市のチェリバホールへ
(劇をやるのはホールいりぐちのロビー)。
先月のブログで紹介したように、
http://parupisupipi.seesaa.net/article/417331410.html?1432272837
ハタチ族はいま、365日連続公演にとりくんでいる。
できれば月にいちどはかよって、
この魅力的で大胆なくわだてを応援したい。

ハタチ族の劇は、先月につづきこれが2回目で、
さすがに今回は、客がわたしひとりだったらどうしようと、
よけいな心配はしなかった。
とはいえ、まえの日はお客が5人だったというから、
あんまり気をゆるめないほうがいいかも。
お客さんは、2列のイスがほぼ満席となる18名。

演目は、前回とおなじ『演劇入門』だ。
いちどみているのだから、べつの日にいけばいいようなものだけど、
この日のほうがうごきやすかったし、
落語なんかはおなじはなしを あたりまえになんどもきくわけだからと、
あえて2ど目の『演劇入門』をえらんだ。

おなじはなしといっても、ハタチ族の演劇は落語とちがい、
試行錯誤しながらいろいろいじっている。
前回がわるかったわけではなく、
代表の西藤としては つねにあたらしい風をふかせたいのだろう。
結果からいえば、今回はその変化がいいほうにはでなかった気がする。
かえた部分がまだこなれておらず、
こころみがからまわりしているかんじ。
なんとなく間がわるく、
みる側も えんじる側も、わらいがひきつっていた。
先月みたときの開放感がなく、だれもが間をもてあましているみたいだ。

しかたのないことだとおもう。
おなじ劇をやっても、うまくいくときとそうでないときがある。
ましてや、あえて変化をくわえたのだから、
たくらみがぜんたいにしみとおるまで、もうすこし時間がかかるのだろう。
こんなふうにからまわりしたときは あとがきついだろうけど、
そうやってどこの劇団もうまくなっていく。
劇のなかでもいっていたように「だれもがとおってきた道」なのだ。

劇団ハタチ族の劇を、先月はじめてみたときは、
おもっているよりはるかにこなれていたのにおどろいた。
今回は、そのかろやかさはかんじなかったけど、
わるい印象はうけなかった。
こうやって試行錯誤をかさねながら ちからをつけていくんだと、
好感をもつ。

365日連続公演まであと224回。
最終日であるおおみそかには、
チェリバホールの500席を満員にするという。
そのこころざしやよし。
このいちねんの経験は、
ハタチ族にとって ぜったいにおおきな財産になる。
無謀な冒険に挑戦しつづけるハタチ族に、はげしくエールをおくりたい。

posted by カルピス at 14:33 | Comment(0) | TrackBack(0) | 演劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月15日

「劇団ハタチ族」の公演をみにいく。365日連続公演プロジェクトがすばらしい

となり町である雲南市へ、「劇団ハタチ族」の公演をみにいく。
http://20zoku.jp/
「劇団ハタチ族」はいま、東京でなくても演劇がまいにちみられる町をめざし、
365日の連続公演に挑戦ちゅうだという。
365日まいにち公演!
なんと大胆かつ無謀で魅力的なくわだてだろう。
これこそハタチのわかものがいどむにあたいする冒険だ。
この挑戦にはルールがあって、
「観客0人になったとき、そこでチャレンジを中止する」という。
お客がいなければ意味がないので、
当然であり、いい覚悟だ。
https://faavo.jp/shimane/project/439
すこしまえにフランスのコミックサーカス「うさぎたべるズ」の公演をみて、
こんな舞台を日常的にみられたらすてきだとおもった。
「劇団ハタチ族」は、まさにそのねがいにむけて挑戦してくれている。

きのうの題目は『演劇入門』。
初日の公演ということで、
「開演前はいつもよりも賑やかな雰囲気でございました」
と劇団のブログにかかれている。
http://20zoku.jp/?p=1082
お客さんは17人(うち子どもひとり)もあつまった。
どんな舞台かわからないので、会場につく前は
客がひとりだとこまるなーとおもっていた。雨の日の平日だったし。
チェリバホールという、この地方ではわりとおおきなホール、
のロビーに舞台がつくられている。
舞台のまえに10脚ほどのイスが2列ならぶ。
夜8時からの開演で、10分まえには前列がもううまっていた。
お客さんたちは、劇がはじまるまえからたのしそうだ。
きれいな女性がおおい(ような気がする)。
「ハタチ族」がすきですきで、という愛がつたわってくる

『演劇入門』といっても、どんな内容なのかまるでしらされてない。
エンヤの曲にあわせてゆっくりおどりながら
役者たちが舞台にあがってくる。
スローモーションは役者の基本なのだそうで、
劇団とはなにをするところか、また、
役者はどんなふうに練習しているのかを、この劇では紹介するという。
というのはおもてむきのテーマで、
ほんとうは
「ハタチ族の演劇はどうみればいいのか」
というお客さんからのといかけにこたえた内容らしい。
「ハタチ族」の劇とはいったいなにか。
まじめにみたらいいのか、なにをもとめたらいいのかという、
根源的な疑問だ。
どんなコンセプトにするのかは、
劇団が劇によってコードをしめしながら
だんだんと「こんなかんじ」ができあがってくるのだろう。

なんでもありです、と代表の西藤さんはいう。
たとえば写真をとってもいいし、ケータイも自由です、
お客さんはなにをやってもいいんです、
といっていたところに役者のあきふみさんのケータイがなり、
ゴニョゴニョいいながら舞台をおりてしまった。  
こんなかんじが「劇団ハタチ族」なのだ。

みおわったあとでも、
いったいどんな劇だったのかといわれたら
たしかによくわからない。
よくわからないけど、すごくたのしかった。
きっと、それが「劇団ハタチ族」には大切なことなのだろう。
みていたお客さんたちも、とてもリラックスして しあわせそうだ。
舞台と客席との一体感がすばらしい。
コントと演劇をわけるギリギリの線をラジカルにつき、ばかばかしくておかしい。
「こんな作品やっていいのか!」と、
感きわまった西藤さんがきゅうになきだす。
「だれだよ365日やろうなんていったのは!もうしんどいよ!」
なんて本音もでてきてすごくおかしい。
いい雰囲気だ。

舞台がおわったあとの挨拶で、
4ページにもみたない脚本だったとあかされる。
「こんなかんじ」でつないであるらしい。
それでいいじゃないかとおもった。
まいにち公演まで、あと261日。
またみにいこう。こんな劇団があるのはすばらしい。
プロジェクトがみごとに成功するようねがっている。

・追記1
「反省会」までアップされている。
https://www.youtube.com/watch?v=YAFWbgRZfBI

・追記2
鷹の爪団の「吉田くん」のふるさとは、
ここ雲南市にある吉田村(いまは町)です。

posted by カルピス at 12:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 演劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年02月20日

「うさぎたべるズ」(Les Mangeurs de Lapin)の松江公演をたのしむ

フランスのコミックサーカス「うさぎたべるズ」の公演に 配偶者とでかける。
今回の日本公演では、松江のほかは東京と大阪だけでしかひらかれない。
関係者に松江出身の方がおられ、
その縁もあっての「なぜか松江」公演だ。
Matsue_recto.jpg
まさかの満席で、500人定員の1階は開場とともにうまったそうだ。
2階席にむかうよう案内される。
わたしは関係者でもないのに、
50人くらいしかあつまらなかったらどうしようと、なんて心配していた。
おそらく実行委員会の方々が、いろんな方面にうごいたのだろう。
SNSは、そうしたときにやくにたちそうだ。
子どもづれもおおく、ほとんどがわかいひとで、中高年の方はあまりみかけない。

19:25に、メンバーのひとりがでてきてピアノをひきだした。
いい雰囲気、とおもってきいていたけど、それが15分以上もつづくので、
「ピアノもいいけど、サーカスのほうはどうなってるんだ?」
とイライラしてきはじめたころ、ようやくだしものがはじまる。

フランスのサーカスときいて、配偶者は
フランス語ができないと、たのしめないのでは、と心配していた。
もちろんそんなことはなく、
「おかーさん、ごめんなさい!」みたいに、
日本語をじょうずにはなす(発音する)。
そういえば、外国からくるサーカスに、ふつうことばの心配なんかしない。

ささやかなギャグにも配偶者はわらい声をあげる。
ほんとにサーカスがすきなひとだ。
いつもこれくらい友好的だとありがたいけど。
もっとも、会場の雰囲気がとてもよく、ずっとわらいがたえない。
ちいさな子どもたちもおおよろこびだ。

ゾウ2頭がでてきての、「いかにもサーカス風」演技に 場内がもりあがった。
ゾウがうとうとするあやしげな雰囲気がなんだかおかしい。
間のとり方がうまく、ふしぎな世界をつくってしまう。
ほかにも、自分のスーツをないがしろにされ
「いじけるおじさん」がおかしかった。
ふつう、たかだかスーツをじゃけんにあつかわれたといって、
そんなにがっくりしないのに、
とんでもなくかなしい目にあった、みたいにえんじて、
みてる側もそんな気にさせてしまう。

指をつかった「スコットランド・マジック」にもわらった。
このひとは、ギャグ系のネタしかできないとおもわせて、
そして、この劇団はその路線だけだろうと油断させておいて、
あとですごいジャグリングをみせてくれる。
失敗するとポケットから花びら(みたいなもの)をさっとまいてごまかすひとも
なんとなくフランス的におしゃれだ。
出演者は4人しかいない。
みているうちに4人のキャラクターがだんだんわかってきて、
その共通理解のもとに4人があそびまくる。
こんなやり方があるんだ。
日本にはあまりないスタイルだろう。

テニスラケットとボールをつかってのジャグリングがみごとだった。
プロだ。
あんまりじょうずなので、どんなことをしても失敗しないから、
なんだかかんたんな演技にみえてしまうけど、
そんなわけはない。すごい技にきまっている。
ラケットが5本にふえるとさすがにむつかしくなり、
なんどかラケットをおとす。
でも、トライしつづけて、さいごにはきめた。すばらしい!

21時にすべてのだしものがおわる。
アンコールをもとめる手拍子にはこたえず、
4人が舞台にでてきてスポンサーの名前をよみあげる。
この公演に協力してくれた方へのお礼もつたえる。
ほんとうに、よくこれだけお客さんがきてくれた。
出演者と会場との一体感も、こうした会ならではの あたたかなものだった。

みおわったあとも、かるい興奮がつづいている。
こんなたのしい公演を、気がるにみにいけたら(月いちくらいで)とおもう。
「しばらくおまちいただけたら、
 ロビーで出演者が挨拶とパフォーマンスをします」、
と案内があったけど、
おなかがすいていたので会場をあとにする。たのしかった。

posted by カルピス at 12:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | 演劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月31日

「うさぎたべるズ」松江公演がたのしみ

運転中にラジオをきいていたら、
「うさぎたべるズ」がなんとかといっている。
フランスのちいさなサーカス劇団で、
日本での公演が東京と大阪、そして松江にきまっているのだという。
なんで松江なのかというと、劇団の宣伝をつとめる女性(ハトさん)が
松江出身というつながりから、「ぜひ松江でも」となんとなくもりあがったらしい。
わたしがきいていた番組は、ハトさんが生出演し、
「うさぎたべるズ」について説明していたのだった。
はなしをきいてもどんなだしものなのか
なかなかイメージできない。
おもしろそうな気はする。
東京・大阪につづくのが、なぜか松江というノリもすきだ。
http://sigsan.blog121.fc2.com/blog-entry-185.html

「うさぎたべるズ」は「Les Mangerus de Lapin」の日本語訳という。
「レ・マンジュー・ドゥ・ラパン」なんていわれてもわけがわからないけど、
「うさぎたべるズ」でも やっぱりわからない。
そのわからいところを そのままほっておくテキトーさが わたしごのみでもある。
前売で3000円。配偶者をさそうことにして、さっそくチケットをもとめる。
彼女はなぜかサーカスがすきで、サーカスと名がつけばすごく協力的だ。

松江公演は、資金ぐりにくるしんでいるそうで、
クラウドファウンディングをブログでよびかけている。
とはいえ、わたしにできるのはチケットを2枚かうぐらいだ。
おなじフランスのサーカスでも、
「シルク・ドゥ・ソレイユ」は1万円ぐらいする。
値段だけをくらべてもしょうがないとはいえ
ずいぶんお手がるな設定なのが いいかんじだ。
このお手がる感こそ、こうした小劇団の魅力であり、
松江みたいなちいさな町で、
こうしたもよおしをたのしめるのはすごくありがたい。
東京・大阪、それにつづくなぜか松江公演に期待している。

posted by カルピス at 11:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | 演劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする