2016年04月14日

あらたなスタートをきった女子サッカー

火曜日の朝日新聞で、津村記久子さんが
「大和撫子の誇り」として
サッカー女子日本代表をとりあげている。
東日本大震災の年に行われたサッカー女子Wカップで、本当に彼女たちは国は背負って戦っていた。(中略)わたしには、彼女たちほどわたしたちの落胆を引き受けてくれた存在はないように思えた。そして勇気づけてくれた存在はないように思えた。(中略)
今はただ、本当にどうもありがとうと言いたい。そして待ち望んでいる。彼女たちが再び世界に出ていけることを信じて待っている。

そうだった。
2011年の夏、東日本大震災によるおもくるしい空気のなかで、
彼女たちのひたむきなプレーが
どれだけちからをあたえてくれたことか。
よく「被災地の方々に勇気をあたえたい」なんていうけど、
ほんとうに それだけのプレーをするのは かんたんではない。
女子代表の試合は、まさしく みるものをふるいたたせた。
彼女たちの活躍がなかったら、あの年の日本は
もっとつらい状況になっていただろう。
それなのにわたしは すっかり感謝の気もちをわすれ、
オリンピック予選で なでしこらしさを発揮できなかった
代表チームにたいし、えらそうに批判めいた感想をのべた。

リオオリンピックに女子代表が参加できないと きまったとき、
おおくのサッカー関係者は技術的な問題点を指摘した。
戦術的なあやまちや、世代交代のおくれ、監督の選手起用など、
うまくいかなかった点がいくつもあり、
それらを批判するのはかんたんだった。
しかし、そんななかでも 彼女たちへの感謝をわすれずに、
声援をおくりつづけたファンもおおかった。

サッカージャーナリストの江橋よしのり氏が、
アジア最終予選をふりかえったとき、
「観客からの温かい激励」が予想外だったとのべている。
http://sports.yahoo.co.jp/column/detail/201603100002-spnavi
なでしこジャパンが近い将来、再び世界の頂点を争う日を迎える時、きっと多くの人が今大会を支えた観客たちを思い出すだろう。そして世界中が「日本はブーイングではなく、寄り添う心で選手を育てた」という物語を、尊敬とともに語らうことだろう。

キャプテンの宮間選手は女子サッカーを文化にしたいとねがい、
オリンピック予選の敗退では、
「もうしわけない」をくりかえした。
そんななかでの「観客からの温かい激励」は、
おおくのひとたちが女子代表への感謝を
わすれていないことがあらわれている。
文化として根づいたかどうかは、選手たちの責任というよりも、
2011年にちからをあたえられた
わたしたちがためされているといえる。

オリンピック予選にやぶれた女子サッカーは、
すでに今シーズンのリーグをたたかっている。
彼女たちのあらたなスタートに声援をおくりたい。
彼女たちへの感謝をわすれず、
「寄り添う心で」これからの再建を応援したい。

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2016年03月04日

オリンピックアジア最終予選で対中国戦にやぶれる

女子サッカーオリンピックアジア最終予選、
6チームでおこなわれる総あたり戦で、
これまで1勝1分の日本は、
自力での出場をすでにとざわれている。
きょうおこなわれる中国戦にかてば、
かろうじて首の皮いちまいでつながるかっこうだ。
その中国戦に、日本は1-2でやぶれた。
まだ可能性がゼロではないらしいけど、
実質的には奇跡にかぎりなくちかい。

これまでの3試合、日本は日本らしさを発揮することなく
ランキングでは格下のチームをあいてに かちきれなかった。
1試合目のオーストラリア戦は、
阪口のパスが審判の頭にあたり、
それがまた相手にとって絶妙な前線へのパスとなってしまい、
2点目につながった。
この場面だけをみると、日本は運のなさにやぶれたみたいだけど、
試合全体をとおして日本は「らしくない」プレーがめだった。
まけるべくしてまけた印象がつよい。
ホームでの重圧に、おちつきをなくしていたのか、
ミスがおおく、選手どおしの意志がかよわない。
オリンピック出場を、当然のミッションとして
かせられている「なでしこ」は、
おもいどおりプレーできないもどかしさが悪循環となり、
チームとしてのまとまりがみられない。
審判がはなった相手への 絶妙なヘディングパスがなくても
試合の結果はかわらなかっただろう。

そしてきょうの中国戦。
かち点3が絶対に必要な試合なのに、
ミスがらみで相手に先取点をゆるす。
キャプテンの宮間は、いつもの彼女とは別人のようだ。
ひとりからまわりしているかんじで
ミスがおおく、セットプレーでも精度をかいている。
彼女の余裕のなさが、
チーム全体のおちつきをなくしているようにみえる。
横山のシュートがきまり、1-2においあげたものの、
さいごのところで精度をかいて 追加点がうばえない。
おしぎみに試合をすすめながら、
肝心なところは 相手にうまくまもられてしまった。
前線にロングパスをおくりつづける彼女たちが
いたいたしかった。
組織されたパスサッカーで
世界から賞賛された日本女子サッカーが、
まさか くるしまぎれのパワープレーに すがるしかないとは。

3試合をおえた時点で まさかひとつの勝利もなく、
なによりもチームとしてのまとまりさえままならない。
対オーストラリア戦も、きょうの中国戦も、
運がわるくてかてなかったのではなく、
総合力として 日本は相手チームよりおとっていた。

5年前のWカップドイツ大会の優勝により、
日本女子サッカーは世界から注目をあつめた。
日本でも、「なでしこ」はブームとなり、
彼女たちのひたむきなプレーは
大震災でちからをおとしていた日本に
希望と勇気をあたえてくれた。
わたしもまた、あのときから「にわかファン」として
彼女たちのプレーに胸をあつくしたひとりだ。
ねばりづよくはしりまわるプレーで
彼女たちのサッカーは みるもののこころをとらえた。

ロンドンオリンピックでは 銀メダルにおわったものの、
決勝戦にやぶれながら すぐに気もちをきりかえ、
よき敗者としてふるまった。
彼女たちのひたむきなプレーとあかるさは、
「かつ」だけが大切ではないことを
世界にしめしてくれた。

きょねんおこなわれたWカップカナダ大会では、
なんとか2位におさまったものの、
もはや日本のパスサッカーが
世界の強豪をあいてに 通用しないことがあきらかとなる。
世代交代がおもうようにすすまず、
主要メンバーは2011年の遺産にたよったままだ。
世界からおいつかれるのは 時間の問題だった。
そして今回のオリンピック予選。
格下の国が相手でも、すんなりかてない現実から
日本は再スタートをきるより道はない。
きょうの敗戦を、日本女子サッカーが生まれかわるための
屈辱の日として記憶したい。

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2015年07月06日

女子Wカップ決勝、日本対アメリカ おつかれさま。いまはよき敗者であればいい

前半16分までにたてつづけの4失点。
いったいなにがおこったのか、
選手たちも状況をよく整理できない。
アメリカを相手に、あまりにもおもい4点だ。

アメリカは、準決勝のドイツ戦のいきおい そのままに
試合にはいってきた。
ときはなたれた馬が全速力でピッチをかけまわるように、
ゴールをめがけ すごい迫力でおしよせてくる。
どのチームにも魔の時間帯はおこりえるとはいえ、
あのいきおいでたたみかけられたら、
そしてそれが成功し、試合開始3分で得点がきまったら、
だれでもおちつきをうしなってしまうだろう。
宮間が選手たちをあつめ、たてなおそうとするが、
気もちをきりかえるまえに4点をうしなってしまった。

「たら・レバ」をいってもしょうがないとはいえ、
この試合はいくつも「たら・レバ」があった。
もし4点目の超ロングシュートがきまってなかったら、
前半30分に、ゴールまえでせりあったときに得点できていたら、
後半31分のコーナーキックで、澤のヘディングがきまっていたら、
そしてアメリカの5点目がはいってなかったら。
これだけ「たら・レバ」をあげておいて いうのもなんだけど、
4失点後の日本は そうわるくなかった。
ミスからのもったいない失点がなければ(また「たら・レバ」だ)、
みごたえのある「うちあい」になっていた試合だ。

選手たちをせめる気などまったくない。
これまできびしい試合をかちぬけたのは
彼女たちならではのちからだし、
この試合でも、4失点してもなお、
あきらめずにゴールをめざしてくれた。
彼女たちのおかげでいいものをみさせてもらえたと
ほんとうにおもう。

ロンドンオリンピックの表彰式では、
銀メダルにおわったくやしさをおさえ、
相手の健闘をたたえる余裕がなでしこにはあった。
汽車をつくってピッチにあらわれ、
手をつないでうれしそうにあるく選手たち。
今回の敗戦ではその余裕もなく、かたい表情のままだ。
いまは、よい敗者であればいい。
アメリカだって、4年前の屈辱があったから、きょうの勝利があった。
なでしこたちも、きょうの敗戦をつぎのチームづくりにいかしてくれるだろう。
アメリカの優勝に拍手をおくりながら、
これからなでしこたちがみせてくれる あたらしいサッカーに期待したい。

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2015年07月02日

女子Wカップ準決勝、日本対イングランド くるしい試合をなんとかしのぐ

くるしい試合だった。
イングランドのロングボールに日本はうまく対応できない。
わかっていたはずなのに、相手のいいところばかりが目だつ。
イングランドの選手が試合まえに
「以前に勝ったから、あしたも勝てないわけがない」
といった気もちがわかる。
シンプルにロングボールをいれるのが自分たちのサッカーで、
そのスタイルをしんじてつづけさえすれば、
おのずと結果はころがりこんでくるという自信だ。
まよいがないぶん どんどんたたみかけてきて迫力がある。
まだ距離のあるセットプレーでも、
ためらわずゴールまえにいれてくる。
スローインでもロングボールだ。
それがまた、ウソみたいにいいボールがはいってくる。
クロスバーにすくわれたり、ボールひとつ外にはずれたりで、
日本はなんどもあぶない場面をむかえた。
日本もロングボールにつきあった形で、
ながいパスをたてにいれては相手にうばわれる。
岩渕がはいって攻撃が活性化したものの、
ゴールのにおいはほとんどしなかった。
とても90分でかてる試合にはおもえない。
なんとか延長までもつれるようねがっていたら、
後半のロスタイムに相手のオウンゴールが生まれる。
息づまる緊張から開放され、ヘナヘナとわたしはくずれおちた。

あつさのきびしい会場(エドモントン)で中3日の試合は、
おもっていた以上に選手たちをつかれさせていた。
リズムが生まれない。選手のあいだでうごきがノッキングする。
相手は中盤を省略してまもっており、
日本がボールをもってもパスのだしどころがない。
中盤でのパスまわしが日本のよさなのに、
そのいいところをけされてしまった。
日本はポゼッションではリードしていたかもしれないが、
無駄にはしらされており、足がまえにでない。
こんな内容でまけたら、あまりにも不完全燃焼だったろう。
完全に相手の試合だったのを、ねばりづよくまもって、
からくも勝利をたぐりよせた形だ。
イングランドとしても、まけた気はしないだろう。

試合のあとのインタビューで、宮間選手が決勝への抱負をかたっていた。
くるしい試合のあとなのに、おちついたはなし方が印象にのこる。
「決勝のことだけかんがえてやってきた。
 オリンピックで金メダルをもっていかれたので、
 Wカップはわたさない」
これまでのグループリーグ、そして決勝トーナメントで、
日本のよさもわるさもみえてきた。
アメリカとの決勝戦は、くいののこらないよう、
全力をだしつくす試合としてほしい。

レフリーの判定には不満をかんじる試合だった。
日本がPKをえたプレーも、
PKをあたえたプレーも、
どちらもPKとはおもえない。
とくに大儀見のプレーでは、ほとんど相手にふれていないにもかかわらず、
むこうがかってにたおれた。
そんなレフリーの判定にも、日本の選手たちはまったく異議をとなえない。
PKをえたときから、PKのおかえしをうけるのがきまっていたようなもので、
不満を口にしても くつがえることはない。
レフリーのみる目のなさにひきかえ、なでしこたちのスマートさがひかった。
クロスバーをふくめ、運にたすけられた試合であり、
あのレフリーが、日本のゴールをみとめたのも幸運だった。
サッカー的には 選手たちのつよい気もちが その運をよびこんだのかもしれない。

posted by カルピス at 14:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | 女子サッカー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月01日

「以前に勝ったから、あしたも勝てないわけがない」という発想に感心する

あすのWカップ準決勝で、女子日本代表が対戦するイングランドは、
自信をのぞかせているそうだ。
(イングランドは)4年前の前回大会で日本に土をつけた。
その当時から主力のJ・スコットは「以前に勝ったから、あしたも勝てないわけがない」と話した。(スポニチ)

「以前に勝ったから、あしたも勝てないわけがない」
は、なかなか日本人にはいえないことばだ。
「まえにはかてたけど、つぎもそううまくいくとはかぎらない。
 油断しないよう、気もちをひきしめてのぞむ」
みたいなかんがえ方をするひとが、日本にはおおいのではないか。
調子にのってると、いまにいたい目にあうので、
発言だけでも うかれたところはみせないようにするのが 日本的な発想だ。
自信満々で試合にのぞみ、おもわぬところで足をすくわれた体験を
イングランドの選手がもたないはずはない。
かんがえ方のちがいで、
自信満々と、期待はずれの結果とのあいだに、
因果関係をみとめないのかもしれない。
このまえうまくいったので、こんどもきっとうまくいく、
とストレートにおもえたら、人生はどんなに楽ちんだろう。

もちろん、そうやって自分にいいきかせている面もある。
気もちでまけてたら試合にならないので、
あえてつよ気の姿勢を全面にだす。
ボクシングでは、試合まえのインタビューで
「ボコボコにしてやる」みたいに
めちゃくちゃつよ気の発言をすることがおおい。
からだをはった勝負のまえに、気もちでまけないよう、
こうやってまえむきの姿勢をたもつ。

日本の佐々木監督も、「負ける気がしない」とつよ気の発言をしているし、
選手たちからもいきおいにのったコメントがおおくきかれている。
「かてる」というのと「まける気がしない」はビミョーにちがうとはいえ、
こんなに自信を口にするのはあまり記憶にない。
イングランド戦まえの日本が妙につよ気なので、
わたしとしてはヒヤヒヤしていたけど、
かんがえてみたら なさけないはなしだ。
結果がどうなろうと、試合まえのインタビューとは関係ないのだから、
かんじている手ごたえを、遠慮せず口にだせばいい。
そうした点において、今回のなでしこは、日本的でないチームにそだっている。

もう一方の準決勝の試合、
ドイツ対アメリカをみる。
選手の体格・スピード・つよいあたり。
あまりいいたとえではないけど、
まるで男子の試合みたいな迫力だ。
日本はどっちともやりたくないなー、とまずおもい、
しばらくしてから、どっちとやってもたのしみ、とかんがえなおす。
異次元のようにつよいチームと、日本がどんな試合をするのか みてみたい。
日本は、ほんとうにこんな相手とたたかって、
これまでにかってきたのか。
あらためて日本女子代表のすごさをおもいしる。

解説の小島伸幸さんが、ドイツのゴールキーパー、アンゲラー選手について
(ドイツにはノイアーという名ゴールキーパーがいるけれど)
「どちらかというとオリバー=カーンを彷彿とさせます、
 風貌といいね」
なんて そんなこといってもいいのか?みたいな発言をされていた。
でも、たしかにカーンみたいにほえてるし、それぐらいの気迫があった。

後半にアメリカが2点目をきめると、
ドイツはアイデアのない平凡なチームになってしまった。
精度のないミドルシュートをくりかえし、
味方のいないゴールまえにクロスをいれるだけだ。
気もちがきれてしまうと、あのつよいドイツがこんなにもメタメタとなる。
手のつけられないほどつよかったアメリカを、
ぜひきょうのドイツみたいにしてほしいと、
日本対アメリカの決勝戦がたのしみとなった。
そのまえに、まずあすのイングランド戦だ。
日本らしい謙譲の美徳はすてさり、
自信にみちたプレーをのぞみたい。

posted by カルピス at 13:56 | Comment(0) | TrackBack(0) | 女子サッカー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする