自信をのぞかせているそうだ。
(イングランドは)4年前の前回大会で日本に土をつけた。
その当時から主力のJ・スコットは「以前に勝ったから、あしたも勝てないわけがない」と話した。(スポニチ)
「以前に勝ったから、あしたも勝てないわけがない」
は、なかなか日本人にはいえないことばだ。
「まえにはかてたけど、つぎもそううまくいくとはかぎらない。
油断しないよう、気もちをひきしめてのぞむ」
みたいなかんがえ方をするひとが、日本にはおおいのではないか。
調子にのってると、いまにいたい目にあうので、
発言だけでも うかれたところはみせないようにするのが 日本的な発想だ。
自信満々で試合にのぞみ、おもわぬところで足をすくわれた体験を
イングランドの選手がもたないはずはない。
かんがえ方のちがいで、
自信満々と、期待はずれの結果とのあいだに、
因果関係をみとめないのかもしれない。
このまえうまくいったので、こんどもきっとうまくいく、
とストレートにおもえたら、人生はどんなに楽ちんだろう。
もちろん、そうやって自分にいいきかせている面もある。
気もちでまけてたら試合にならないので、
あえてつよ気の姿勢を全面にだす。
ボクシングでは、試合まえのインタビューで
「ボコボコにしてやる」みたいに
めちゃくちゃつよ気の発言をすることがおおい。
からだをはった勝負のまえに、気もちでまけないよう、
こうやってまえむきの姿勢をたもつ。
日本の佐々木監督も、「負ける気がしない」とつよ気の発言をしているし、
選手たちからもいきおいにのったコメントがおおくきかれている。
「かてる」というのと「まける気がしない」はビミョーにちがうとはいえ、
こんなに自信を口にするのはあまり記憶にない。
イングランド戦まえの日本が妙につよ気なので、
わたしとしてはヒヤヒヤしていたけど、
かんがえてみたら なさけないはなしだ。
結果がどうなろうと、試合まえのインタビューとは関係ないのだから、
かんじている手ごたえを、遠慮せず口にだせばいい。
そうした点において、今回のなでしこは、日本的でないチームにそだっている。
もう一方の準決勝の試合、
ドイツ対アメリカをみる。
選手の体格・スピード・つよいあたり。
あまりいいたとえではないけど、
まるで男子の試合みたいな迫力だ。
日本はどっちともやりたくないなー、とまずおもい、
しばらくしてから、どっちとやってもたのしみ、とかんがえなおす。
異次元のようにつよいチームと、日本がどんな試合をするのか みてみたい。
日本は、ほんとうにこんな相手とたたかって、
これまでにかってきたのか。
あらためて日本女子代表のすごさをおもいしる。
解説の小島伸幸さんが、ドイツのゴールキーパー、アンゲラー選手について
(ドイツにはノイアーという名ゴールキーパーがいるけれど)
「どちらかというとオリバー=カーンを彷彿とさせます、
風貌といいね」
なんて そんなこといってもいいのか?みたいな発言をされていた。
でも、たしかにカーンみたいにほえてるし、それぐらいの気迫があった。
後半にアメリカが2点目をきめると、
ドイツはアイデアのない平凡なチームになってしまった。
精度のないミドルシュートをくりかえし、
味方のいないゴールまえにクロスをいれるだけだ。
気もちがきれてしまうと、あのつよいドイツがこんなにもメタメタとなる。
手のつけられないほどつよかったアメリカを、
ぜひきょうのドイツみたいにしてほしいと、
日本対アメリカの決勝戦がたのしみとなった。
そのまえに、まずあすのイングランド戦だ。
日本らしい謙譲の美徳はすてさり、
自信にみちたプレーをのぞみたい。