2017年07月21日

「デイリーポータルZ」気になる3作

デイリーポータルZに林雄司さんの
「もうひとつの人生ごっこ」がのった。
http://portal.nifty.com/kiji/170707200089_1.htm
どこかしらない町に、もうひとりの自分がすんでいるかも。
もうひとりの、ありえたかもしれない自分はどんな人間か。
おぼえのない部屋にたたずんでいると、
しらない「友人」がたずねてくる・・・。

すごい企画だとおもうけど、
ここまでくるとさすがにわかりにくく、
記事をぜんぶよんでようやく設定がみえてくる。
被験者となったひとは、記憶喪失になったようなもので、
かんがえても、おもいだそうとしても、
当然ながらなにもみえてこない。
こうしたややこしい状況をおもいつき、
具体的な形にしてしまうのが
デイリーポータルZの、そして林さんのすばらしさだ。

この記事の対極にくるのが、與座ひかるさんの
「街中で勝手にテープカットすると楽しい」。
http://portal.nifty.com/kiji/170719200179_1.htm
タイトルだけで、内容がわかってしまうけど、
これもまた、じっさいにやってしまうのがえらい。
テープカットを体験した與座さんの後輩は、
「……本当に何も思わない」
「切ったら何か思うのかと思ったけど」

と感想をはなしている。そうだろう。
わたしもまえからあのテープカットを不思議におもっていた。
なぜ、あんな儀式をするようになったのか。
ひとりがテープにはさみをいれるのならまだしも、
4、5人がならんで「せーの」と同時にアクションするのは
ありえない光景で、ものすごくバカバカしいしくみえる。
與座さんによると、「赤絨毯が超大事」らしい。
やってみないとわからない発見だ。

そしてもうひとつ。
ヨシダプロ氏による「ももちゃん」シリーズの最新作は、
「柴犬がアイスに似ているので『柴アイス』を作ってみた」。
http://portal.nifty.com/kiji/170714200147_1.htm
今回は、ももちゃんの茶色い毛が、
キャラメルソースにみえてしかたがなかったという動機から、
アイスでももちゃんの顔をつくり、
そのうえにキャラメルソースをかけている。
これまでにつくってきたパン・大根おろし・コロッケとくらべると、
キャラメルソースはむりやり感にみちている。
まあ、けっきょくのところおあそびなのだから、
ももちゃんにはもうしばらく我慢してもらって、
このシリーズのさらなる発展をたのしみにしたい。

posted by カルピス at 20:49 | Comment(0) | TrackBack(0) | デイリーポータルZ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月28日

神奈川県からの「上京」でも 感動できるわかれとなる

デイリーポータルZにのった
「でかい紙に応援メッセージを書いて見送られると感動する」
がよかった。
http://portal.nifty.com/kiji/170626199993_1.htm
江ノ島茂道氏による記事で、内容は、タイトルそのままだ。
ふつうなら、ちょっとしたおでかけ、というよりも、
通勤・通学として東京へむかっているだけなのに、
「わかれ」として のぼり線をとらえ、友だちもまきこんで
応援メッセージをかかげながら みおくってもらう。
たとえ神奈川県からの「上京」でも、
おおきな紙に応援メッセージをかいてもらうと
なんだか感動してしまうらしい。

これまで江ノ島氏のかく記事は、
胃袋にたよった ちからずくの企画がおおかったけど、
今回は文章もさえている。
応援メッセージをかく ふとくておもいロール紙を、
「バットにできそうなぐらい長いが、
 振れないほど重いのでバットには向いてない」
といいあらわすあたり、
ロール紙の特質について、論理的に表現するちからを
江ノ島氏は身につけてきた。

さいしょの実験は、江ノ島氏がみおくられる側だ。
あるていど うちあわせをして、
何時何分発の電車の何両目にのっているかを
おくる側につたえる。
友人たちの応援メッセージを発見したとき、
受験をしたとき、自分の番号を見つけたときぐらいうれしい。
東京でも頑張ろうという気持ちになる。

と江ノ島氏はかんじたというから、そうとうな効果だ。

ドラマなどでよくみるホームのわかれは、たいていいなかの駅なので
乗客とみおくりとの距離がちかく、感動的な旅だちになりやすい。
しかし、都会の駅でおなじような「わかれ」を演出しようとすると、
線路のちかくにある公園などで横断幕をかかげることになり、
すこしぐらいおおきな字をかいたところで、
電車のなかからは識別するのは困難となる。
よくみえないにもかかわらず、「感動した」というのだから、
メッセージの内容よりも、自分が旅だつにあたり、
しりあいがかけつけてくれた事実そのものが
うれしいのだろう。

もうひとり、おくられた側の感想は、
窓から、たくさんの人が一生懸命手を振っているのが見えました。指笛みたいな音も聞こえました。僕なんかのために集まってくれたのかと思うと本当に嬉しかったです。こちらからも手を振り返したのですが、見えたのは一瞬で、ちゃんとこたえられたかは分かりませんでした。東京でもがんばろうと思いました。

というから、上京による旅だちは、江ノ島氏にかぎらず、
だれでもこころがひきしまる体験になりやすいようだ。

いっぽう、おくる側にたったひとに感想をたずねると、
「電車内からも手を振っているのが見えて、全然知らない人なのに(行っちゃうのか〜)という気持ちになって少し寂しくなった」

というから、
ひとは けっこう、その場の雰囲気に 調子よく そまりがちだ。
よくかんがえてみると、これらの感動は、
企画当初にあった
「でかい紙に応援メッセージを書いて見送られると」
とは、ほとんど関係がない。
けっきょく、もともとの企画は本来の意味をうしない、
ただ「おおくのひとにみおくられると うれしい」
という事実だけが わかれの本質としてうかびあがる。
江ノ島氏のこんごの活躍に期待したい。

posted by カルピス at 21:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | デイリーポータルZ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月17日

デイリーポータルZ「将棋で人間は犬に勝てるのか」がすばらしい

デイリーポータルZに
「将棋で人間は犬に勝てるのか」がのった。
http://portal.nifty.com/kiji/170615199912_1.htm
ヨシダプロ氏による記事で、
例によって相手は犬のももちゃんだ。
わたしは、ももちゃんシリーズがだいすきなのだ。

これはもう、企画をおもいついた時点で
「勝負あった」の記事だ。
すばらしい。
中学生棋士の連勝記録や、
コンピューターに名人がやぶれるなど、
このところ将棋の話題をよく耳にする。
そこに、この「将棋で人間は犬に勝てるのか」なのだから、
内容がどうこうより、タイトルでもうきまりだ。

記事は、「犬王戦」と名づけられた
タイトルマッチに焦点をあてている。
会場はヨシダプロ氏の自宅らしく、
立会人などはいないけれど、
それなりに棋戦らしい雰囲気が ないでもない。
写真がまたすばらしい。
ももちゃんがじっと基盤をみつめ、
ヨシダプロ氏とむかいあっている。

ヨシダプロ氏は、まず駒のうごかし方を読者に説明し、
最低限のルールをおさえたのち、
いよいよ対局がはじまる。
はたしてももちゃんは駒を適切にあつかえるのか。

わたしがどうのこうのつけたすよりも、
とにかく記事をみていただきたい。
AIなみに「神の手」をくりだしながら
おもわぬ善戦にもちこんだ
ももちゃんの健闘に拍手をおくりたい。

posted by カルピス at 12:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | デイリーポータルZ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月13日

余計なものを過剰にくわえる 松本圭司氏の料理法にしびれる

デイリーポータルZに松本圭司氏の
「シャトルシェフで肉を煮れば人類は救われる」がのった。
http://portal.nifty.com/kiji/170411199303_1.htm
シャトルシェフは、保温調理器の一種らしい。
煮こむ時間はみじかくても、そのあとながい時間 保温することで、
材料がトロトロにやわらかく、おいしくなるそうだ。
わたしがすきな(やすいので)豚バラ軟骨と鶏肉の手羽を材料に、
煮こみ料理がつくられている。

松本氏は、「揚げ物に油をかけると、すっげーウマい」の記事で、
ポテトチップスにオリーブオイルをかけたり、
テンプラに豚バラ肉からとった油をかけたりと、
常識にさからう過剰な摂取で わたしが注目している食の冒険家だ。
http://portal.nifty.com/kiji/170314199029_1.htm
テキトーさと大胆さ(おなじことか)により、
食材のいきおいを最大限にひきだす手法は、
他の料理人の追随をゆるさない。
たとえば豚バラ軟骨の料理では、
煮込むとアクが出ますがもったいないので取りません。アクだって豚の一部です。

とたのもしい。
われわれは、料理人であるまえに
地球人としての良識をわきまえるべきで、
あたりまえに 材料をまるごと とりいれる姿勢に 好感がもてる。
鶏肉の手羽をつかったカレーでは、
・表面を焼きます。うま味を閉じめるとかそういう効果は特にありませんが茶色はおいしそうなので茶色くします。そういう儀式です。
・カレールウは使っても使わなくてもいいのですが、カレー粉を買うより安いので経済的理由でルウを使います。
・「カレールウの味は完成しているので隠し味は要らない」なんてつまんない事を言う人がいます。が、どんどん余計なものを入れていきます。むしろ隠さず余計なものだけでカレーを作る。するとハレになります。
・『ごちそう』とはつまり普段とは違う味の事ですから、ふだんと違う味付けにすればそれすなわちごちそうです。レシピなんかに従っていたらごちそうなんて出来ません。魔改造していきましょう。

と、筋のとおったコンセプトにしびれる。
トマト・おろしショウ・、おろしニンニクをくわえ、
カレールウをいれたのちも、
「余計なもの」をつぎつぎに つけたしていく。
添付のカレー粉・S&Bのカレー粉・ヨーグルト、
梅ジュースをつけたあとの梅。
一般的にはシンプルが善とされ、
「余計なもの」をくわえるのはダサいと 評判がわるいけど、
松本氏は一般常識にとらわれず、
「余計なもの」を過剰にくわえる手法で
料理のあたらしい大陸を発見した。

わたしは、なにかをくわえるより、
いまあるものから すこしずつひいていく過程に
価値をみいだしている。
肥料をやったり、土をたがやしたりと、
よさそうな方法はなんでもとりいれ、世話をやきたがる米つくりより、
自然農法のように、肥料はいらないのではないか、
草もとらなくてもいいのではないか、
というかんがえ方のほうがただしいとおもっていた。
しかし松本氏は、わたしと逆な方向に、ひとつの真理をみつけている。
くりかえして強調したい。
「隠し味は要らない」なんてつまんない事を言う人がいます。が、どんどん余計なものを入れていきます。

しごく名言である。
これこそが松本流処世術の真髄であり、
おそらく料理はそのうちの ごく一部にすぎない。
まちがったほうがおもしろい、
うまくいかなくても心配ない、など、
わたしの琴線にふれる大雑把な美意識に、
松本氏の「余計なものを過剰にくわえる」をあらたに くわえたい。

posted by カルピス at 21:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | デイリーポータルZ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月19日

人生は、「うまくいかないから面白い」のかも

デイリーポータルZが新人賞をつのるにあたり、
ライターの仕事をイメージしてもらえたらと、
「記事を書く人生とは」について、
専属ライターにインタビューしている。
そのなかのひとつ、編集部の石川さんと、
ライターの小堺さんとのやりとりがおもしろかった。
http://portal.nifty.com/kiji/170314199030_2.htm
石川:僕も、ライターとか編集とかやりだしてから、
   失敗したりうまくいかないのも面白いなーと思って。
   それがヘボコンにつながりました
小堺:それって素敵ですよね
   うまくいかなくてもいい、って
石川:なんかうまくいかなくてもがっかりしなくてもいいなと思って。
   面白く書けるぞっていう
小堺:うまくいきすぎると、逆に焦ることありますよね
石川:あ、そうそう。ちゃんとできると書くことないんですよね
小堺:そう、うまくいかないから面白い
   人生と一緒ですね

こうなると、ふつううまくいくようにめざすのが、
かえって不思議におもえてくる。
うまくいくのは なぜいいことなのか。
うまくいくと、なにかいいことがあるのか。

もちろん、はじめからうまくいかないのをめざすのではない。
ある目標にむけて、自分なりに全力をつくすのだけど、
その結果が かりにうまくいかなくても 大丈夫なのだ。
うまくいかなくても どうってことないとおもえたら
なにごとも、あまりためらわないで 第一歩をふみだせる。

人生の目的とはなにか。
自分がやりたいことを実行するのが、
人生の目的(のひとつ)だとわたしはおもう。
うまくいけば、にっこりわらって死ねるのでは。
うまくいかなくてもいいけど。

posted by カルピス at 20:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | デイリーポータルZ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする