新聞の第1面に「投資減税 もろ刃の剣」とあった。
このことわざの、だいたいのイメージはつかんでいるつもりで、
とはいえこのさいだから正確な意味を確認しておこうと辞書をひらく。
意味はおもっていたとおりだった。
でも、よみは「もろはのつるぎ」なのだそうだ。
わたしはずっと「もろばのけん」だとおもっていた。
さいわい口にだしていったことはないはずで、
はずかしいおもいをせずにすんでたすかった。
ほかにも「口説く」は「くちとく」と平気でいっていたし、
「山羊」も「やまひつじ」とよんでいた。
だれにでもあるかんちがいというやつで、
わかったような顔でこうしたことばを口にするのは、
二枚目をきめたつもりなのに
ざんねん、鼻毛がのぞいていた、というのとおなじくらいはずかしい。
ひらきなおっていわせてもらうと、
これはわたしの無知を指摘するよりも、
日本語、というより漢字に問題があるとかんがえるほうが素直だろう。
なんとおりにもよめ、そのどれもがまちがいではない。
「三種の神器」を「さんしゅのじんぎ」とよまなければならないなんて、
そもそもがむりなはなしなのだ。
元総理大臣の麻生氏について、わたしはいい印象をもたないけれど、
氏にたいしてなされた国会でのあげあしとりはひどかった。
漢字以外のかんちがいでは、「フリーマーケット」を
ついこのまえまで「Free Market」だとおもっていた。
これはもちろん「Flea market」(蚤の市)なわけで、
なんで「Free」(無料の)市場だなんておもっていたのだろう。
とはいえ日本語では「Flea」と「Free」のどちらも
「フリー」としか発音しないのだから、
わたしのかんちがいというより
「蚤の市」を「フリーマーケット」といいはじめたほうがよくない。
ちゃんと日本語で「蚤の市」といえばいいのだ。
フリーマーケットといばパリのものが有名だ。
フランス語では「Marché aux puces」(マルシェ オ ピュス)というそうで、
これだったら「そうか、ノミのことをフランス語ではピュスというのか」と
あたらしい知識をしいれたことをよろこべる。
「フリーマーケット」を「Free Market」だとおもっているひとは
あんがいおおいのではないか。